大友克洋、4年ぶりの新作短篇発表
発売中の「芸術新潮」7月号で、大友克洋が描き下ろしSF短篇「悪いロボットも壊れたら地獄へ行くの?(邦題)」を発表している。同誌2012年4月号掲載「DJ TECKのMORNING ATTACK」の続編である。今回も手彩色によるオールカラーのマンガで、第2特集「大友克洋と見るバンド・デシネ」内に収録。もともと描写の細かい大友がオールカラーにこだわるのは、バンド・デシネの影響も少なくないだろう。
■バンド・デシネとは?
バンド・デシネとはフランス語圏で刊行されているマンガのことで、略称はBD(ベーデーまたはベデと読む)。マンガといっても日本のものとは少々事情が異なり、オールカラーでハードカバー、1冊48ページくらいのものが主流。絵本や画集を思わせる、コマ割りされていない作品も少なくない。大型本や豪華本もある。
■自由な表現への羨望
「芸術新潮」7月号掲載、大友克洋描き下ろしSF短篇「悪いロボットも壊れたら地獄へ行くの?(邦題)」の一コマ(原画)
大友は1970年代から、BD作家たちの画力の高さに関心を寄せてきた。「絵が自由なのが本当に羨ましい。絵に対する考え方がぜんぜん違うんだなっていう気がしますね」。「本を作るのは文化だっていう自負があるんだろうな」。特集内に掲載のインタヴューでは、作家たちの画力だけでなく、自由な表現を許容するBD界への羨望感も吐露。
特集では大友が敬愛するBD作家たちの作品やインタヴューも掲載されているとあってか、大友の新作への取り組み方には鬼気迫るものがあった。ちなみに大友のコミックエッセイ「親父衆」公式アカウントのツイートによると、第3話練馬編も構想中の模様だ。