オバマ大統領も訪れた広島は欧米人観光客の聖地――いま、広島が熱い!(3)

国際2016年6月22日掲載

 先頃、アメリカのオバマ大統領が、現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪れた。政治的な立場から「謝罪」はできなかったが、原爆資料館にたちより、被爆者に寄り添った姿に、日本人の多くは心を動かされただろう。

 現職のアメリカ大統領が訪れたとなると、今後は他の国の国家元首や要人の訪問も増え、訪問外国人もさらに増えてくるに違いない。

■極端に欧米人が多い広島への観光客

 実は、広島に来る観光客には、他の都市と比べて際立った特徴がある。欧米からの観光客が圧倒的に多いのだ。

 新潮新書『広島はすごい』の中に、興味深いデータが紹介されている。2014年の訪日外国人客は1341万人で、地域別のシェアは中国、韓国などのアジア地域が81%、次いで米国、カナダなどの米州が9%、欧州が8%、オセアニアが3%となっている。国籍別だと最も多いのが台湾の283万人で、以下韓国276万人、中国241万人と続き、これに香港の93万人を加えた4カ国・地域で訪日客全体の66%に達する。

 これに対し、同年の広島市への外国人観光客は約66万人。地域別でトップはアジアの28%だが、2位の米州26%、3位の欧州も25%とほぼ肩を並べ、これにオセアニアの15%が続いている。国籍別で見ると、トップは米国の13万人で、2位のオーストラリア9万人、3位が台湾の5万人である。国内全体では66%に達した台湾、韓国、中国、香港のシェアは、広島市では18%しかない。圧倒的に「欧米人が来る街」なのだ。

“欧米人が来る街”広島市

 実際、広島の街中には、欧米人がカップルで、あるいは家族で、たくさん歩いている。ラーメン屋やお好み焼き屋には英語のメニューが常備され、欧米人が当たり前のような顔で食事をしている。

 ちなみにお好み焼きは、野菜と麺と肉がバランス良く入っていて、1枚500円台からと安いので、外国人のバックパッカーにも人気があるそうだ。

■「爆買い」が期待できない街

 ただし、「欧米人観光客が多い」という事実の反面は、「爆買い中国人に期待できない」ということでもある。『広島はすごい』によると、地元の経営者からは「東京や大阪の爆買いが羨ましい」という発言がしばしば聞かれるという。

 実は、広島でも爆買いフィーバーに地元が沸き立ったことがあった。15年8月、上海から乗客乗員6400人をのせた大型客船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ号」が広島港に寄港することになり、市内中心部の商店街や大型店の関係者は、受け入れ準備に奔走した。 しかし、結果は見事な空振りだった。中国人観光客の多くは原爆ドームや資料館、宮島などを訪れ、市内中心部に買い物に来たグループはほとんどいなかった。
 
 無理もない。シーズ号は昼過ぎに入港し、午後7時までに乗客は船に戻り、その日のうちに出港していったからだ。どうせショッピングをするなら大都市で、と考えるのが自然で、わざわざ広島で買い物をする理由はない。これを機に、広島での「爆買いフィーバー」はなくなった。

 それでも欧米人は、わざわざ宣伝をしなくても来てくれる。来日する米国人観光客の5人に1人は広島を訪問する。ドイツ人に至っては、3人に1人だ。71年前に史上初めて原爆が落とされたという事実をどう受け止めるかは別にして、「HIROSHIMA」はすでに世界ブランドなのである。

 いつまで続くか分からない「爆買い」に淡い期待を抱くより、どの国の人であっても、歴史に刻まれた事実に静かに向き合って貰えるような環境を整えておくことが、広島に期せずして課せられた役割のように思える。

デイリー新潮編集部