黒田総裁! マイナス金利は熊本にムゴかばい!

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 一日も早い復興を願って、全国各地から被災地の熊本県へ義援金が届けられている。だが、皮肉にも多くの人々のそうした善意が、地域経済の根幹を担う金融機関を苦しめる結果を招いているという。

 4月26日の衆院財務金融委員会で、震災の被害を受けた金融機関に対してマイナス金利政策を適用するか否かを問われると、黒田東彦総裁(71)は“例外的な措置を取る必要があるとは考えていない”と断じた。これを聞いた全国紙の経済部記者は、

「義援金の大半は県の指定金融機関の口座に振り込まれるので、結果的に銀行の預金量は増加する。黒田さんは“被災地の銀行でも、日銀に預ければマイナス金利を適用する”と宣言したのです」

 熊本県の指定金融機関である肥後銀行の文化・広報室に話を聞くと、

「マイナス金利の影響を受けるのは間違いないでしょう。現時点で、どれだけ預金量が増えるかは予想できないので、経営に与える影響はなんとも言えません」

 ちなみに、東日本大震災の時には、発生から約1年で日本赤十字などに寄せられた義援金は総額5000億円を超え、その多くが被災3県の指定金融機関に預けられたという。

「実は、被災地の金融機関には義援金だけでなく、国の復興予算、個人が受け取る地震保険金などが入り、肥後銀行には1000億円単位の資金が“真水”として流れ込む。肥後銀行の預金量は約4兆1255億円。健全経営と言われているが、運用先には苦戦している。日銀に預けて“余計”な金利を支払っても屋台骨を揺るがすことにはならないと思いますが……」(先の記者)

 ムゴかばい、黒田総裁! 熊本県から、そんな悲痛な叫び声が聞こえてきそうだ。

週刊新潮 2016年5月19日菖蒲月増大号掲載

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