「ドローン配達」実現を阻む障壁 官邸落下事件の影響で

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

Advertisement

 鳥だ!飛行機だ!いや、ドローンだ。国家戦略特区に指定された千葉市は、小型無人機による物資の運輸実証実験を開始した。認可1号には、大手通販のアマゾンが浮上し、自社開発の最速88キロのドローンを飛ばしたいと政府に要求している。

 宅配実験が行われたのは4月11日のことだった。出発地は東京ディズニーランドから約20キロ離れた「イオンモール幕張新都心」の屋上で、ドローンはそこから公園を経由して、10階建てマンションの屋上へ薬を無事に運び終えた。千葉市幕張新都心室に話を聞くと、

「幕張新都心の臨海部には物流倉庫が点在していて、近隣の幕張ベイタウンには超高層マンションの整備計画が進んでいる。そこでドローンによる宅配事業の実験に挑んでいきたいと考えたのです。3年以内の実用化を目指していますが、認可は別の話。実証実験を始めたばかりですからね」

 今回、テスト飛行に成功したドローンは、千葉大が開発。直径90センチ、高さ40センチ、時速50キロ、重量3キロで6キロまで荷物を運べるという。

「技術的には今日からでも宅配飛行は可能ですが、法律が“障壁”になっている。それで飛行実験を繰り返して、安全性を立証しようとしているのです」

 こう解説するのは、全国紙の社会部記者だ。

「首相官邸の屋上にドローンが落下した事件で、昨年12月に改正航空法が施行されました。その法律でドローンの飛行は“日中に限り、目視できる範囲で、建物などとの間に30メートル以上の距離を保つ”と定められている。この規定を緩和しなければ、宅配事業は限定的になるでしょう」

 果たして、ドローンが自宅まで品物を届けてくれる日は来るのか。

週刊新潮 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。