山尾志桜里議員 地球5周分のプリカを買ったガソリンスタンドに行ってみた

政治週刊新潮 2016年4月14日号掲載

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 民進党の数少ないホープこと山尾志桜里(しおり)政調会長(41)が“ショートホープ”に堕したのは、本誌(「週刊新潮」)の「ガソリン代地球5周分」報道からだった。

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山尾志桜里政調会長(41)

 山尾代議士が当選2回にもかかわらず、新党・民進党の政調会長に大抜擢されたのは、今夏の参院選の顔としてその清新さを買われたからに他ならない。

 国会で待機児童問題を取り上げる女史の映像が繰り返し流され、新党が活気づくかと思われた矢先、自身の資金管理の実像に疑問符が付いた。それは本誌が先週号(4月7日号)で報じた通りである。

 わずか4年前の、かつ事務所内のことなのだからまざまざと思い出せるに違いないはず。しかしながら、思い出したくないのかままならぬ状況があるのか、新政調会長は「事実関係を確認中」と言ったきり、およそ一週間、真相を明らかにしてこなかった。

 4月6日になり「元秘書が関与している」と会見で発表するに至ったが、当時、永田町関係者のひとりはこう語っていた。

「枝野さん(幸男幹事長)は、“もちろん、随分前から知ってたよ。それに、外部の識者からも問題ナシって言われてる”と周辺に話しています」

 これが強がりでないならば、「政治とカネ」の問題を甘く見た、ままごとみたいな発言ではないか。その一方で当然ながら、危機感を募らせる者もいる。

「ベテラン議員から、“ひょっとしたらダブル選があるかもしれないから影響は大きいよ。甘利さん(明・前経済再生担当相)は閣僚を辞めたし、宮崎(謙介)も議員辞職したんだから、早めに手を打った方がいい”という声があがっている」(同)

■プリカでの購入

 ともあれ、問題となったガソリン代のミステリーの森へ分け入って行こう。

 彼女が長を務める「民主党愛知県第7区総支部」は

ガソリン代の支出を、

12年 230万円
13年 82万円
14年 86万円

 と記載しており、12年分が「地球5周分に相当する」ことは前号で触れた。そして総支部は、このうちほとんどをプリペイド・カードの購入という形で処理している。実際、1度に2万円の入金を重ね、その合計が、

12年 226万円
13年 80万円
14年 84万円

 さらに仔細に見て行くと、2012年1~3月の間に47回の入金で〆て94万円。たとえば3月16日には、〈ガソリンプリカ入金〉の名目で2万円が5回もある。

 当時のハイオクガソリン価格を160円/リットル、燃費を15キロ/リットルとして、約9375キロ。むろん政治家であってクルマ屋ではないのだから、とても1日で消化できる量ではない。

 この年、野田佳彦首相が衆院を解散し、総選挙に打って出たが、それは11月16日のことだった。解散のかの字もなく、小沢一郎氏らもまだ離党していない。そんな時期に、山尾事務所がしこしこプリカを買っていたというのは、何とはなしの行動には見えないのである。

小渕優子

■小渕ワインと同類?

 地元政界関係者によると、

「あのころの事務所には、『さくら号』っていう軽の街宣車とフォルクスワーゲン・ゴルフのワゴン、ホンダのステップワゴンの3台が稼働していました。秘書は3人態勢でそれなりに走っていたけど、230万円も使っているような動きじゃなかったよ」

 煎じ詰めれば、地元のアスファルトにへばりつくような余程の精励恪勤がない限り、当時1年生議員だった山尾氏がこれだけのカネをガソリンに費やすことは不可能であるというわけだ。

 以上のことからごく単純に推察されるのは、山尾事務所がプリペイド・カードを何枚も作製していたということである。そうなると、

「プリカを選挙区内の有権者に配っていたことが考えられます。それは寄附行為に該当して公選法違反。ちょうど一昨年秋に小渕さん(優子・元経産相)が、地元の有権者へワインを贈っていたことが明らかになりましたが、それと同じ類のものです」

 と指摘するのは、政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授。この場合、政治家本人が寄附したものとみなされ、1年以下の禁錮もしくは30万円以下の罰金が科せられる。のみならず、

「12年だけでなく、その翌年以降も継続してプリカを購入していることから、“12年に誤って買い過ぎた”あるいは“買い溜めした”という弁明では辻褄が合わないでしょう」

「総支部」がガソリンスタンドで購入していたものと同様のプリカ

■舞台となったガソリンスタンドを訪ねると

「総支部」がプリカを大量に購入していたガソリンスタンドは、選挙区内の尾張旭市にある。名古屋の中心から東へ15キロ。こぢんまりとはしているが天守閣を誇る旭城が、このベッドタウンを睥睨している。

「山尾さんのところがウチを使ってくれているのは、以前この隣に事務所があったからでしょう。こちらでは基本的に、『車両1台につきカード1枚』という提案をしています。クルマを何台か持っている法人にとっては、その方が管理しやすいですからね」

 とはスタンドの店長。セルフ式の給油機に付属する機械へ入金すると、上の写真にあるカードと共に領収書が出てくる。1枚につき8万円までチャージできるという。

「山尾事務所も何枚か持っておられて、それに入金して使っていたんだと思いますよ。何百枚も新規発行することはできますが、あまり意味がない。というのも、入金だけではポイントがつかず、『400円分の給油で1ポイント』という仕組みになっているから。カードが使えるのは愛知県下の20店舗のみ。したがって、金券ショップに転売というのはないのでは? 返金や合算は原則できないし、少なくとも山尾さんの事務所の方には返金していません」

 ショップへ持ち込まないまでも、地元の人や身内同士で提供・換金という可能性もないわけではない。

「仮にプリカをお金に換え、ガソリン代以外に使用していれば政治資金規正法の虚偽記載が疑われる。記載者が5年以下の禁錮か、100万円以下の罰金。そして監督責任者も50万円以下の罰金となります」

 と、これは東京地検特捜部の元検事で弁護士の高井康行氏の解説である。

 そればかりではない。

■公示期間中なら「運動買収」

 たとえば、クルマを使ってポスター張りを手伝った人間に、経費を含めた謝礼として「2万円分のプリカ」を渡したとき。すなわち、ポスターを張るために使ったガソリン代のみを経費とすべきところ、残りについては“私的利用”を認めていたとしたら、

「その時期が問題になる」

 として、こう続ける。

「公示期間中ならば、いわゆる『運動買収』にあたり、公選法違反に問われる恐れがある。逆に公示前だとしても、仕事の対価を支払ったという意味で、その旨を収支報告書に記載する必要がある。そうしていないので、政治資金規正法の不記載が疑われるのです」

 さらに悪いことに、

「もしも山尾氏に、最初からプリカを換金してガソリン代以外に使用する意図があったとしましょう。彼女は税金が原資となる政党交付金を受けていますから、国を欺いたということで詐欺罪に問われることも否定できません」

「特集 7日経っても確認中! 民進党のホープが開けたガソリン代『パンドラの箱』 『山尾志桜里』民進党政調会長は地球5周分でも『菅』官房長官も地球5周分!」より