福島第一原発を視察した「田原総一朗」(1)“核燃料サイクルのメドが立たなければやめざるをえない”

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 もう30年以上前から、原発の危険性を訴えつつも、感情的な反原発もまた危険であることを冷静に主張してきたジャーナリストの田原総一朗氏(81)。福島第一原発が未曾有の事故に見舞われて5年になるのを機に、初めて現地に足を踏み入れた。その視察の一部始終。

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東京電力の福島第一廃炉推進カンパニーのプレジデント、増田尚宏氏

【増田】 5年経って現場はかなり変わってきました。火の粉を振り払うような状況から、落ち着いて、先を見ながら仕事ができるようになったと思います。今、ようやく汚染水対策に一定のメドをつけることができ、使用済燃料やデブリ(融け落ちた)燃料の取り出しという、廃炉の核心に近づいています。

【澤田】 汚染水の除染は間に合っているんですか。

【増田】 今、76万トンのうちの約60万トンは、多核種除去設備を通した水になり、残り16万トン超がセシウムやストロンチウムだけを除いた水で、その処理を順次やっているところです。

【田原】 トリチウムはどうするんですか。

【増田】 世界的には希釈して、トリチウムの濃度を下げて管理し、排水するのが普通の考えです。

【田原】 いやいや、だからここではどうするんですか。

【増田】 まずは保管です。

【田原】 保管って、将来はどうするんですか。

【増田】 みなさんと決めていかなくては。

【田原】 みなさんって?

【増田】 資源エネルギー庁のトリチウムのタスクフォースで処理案を整理してもらっています。希釈して排水、スリーマイル島でやった蒸発、分離して貯蔵と、いくつか案があって、この3月に整理が終わるとうかがっています。原子力規制委員会の田中俊一委員長らは、法律を満たしたうえで排水するのがいいだろう、とおっしゃいますが。

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