八角理事長 相撲協会私物化の一部始終 次期理事長選を控え、外部理事に“殺害予告”も

社会週刊新潮 2016年3月17日号掲載

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 八角親方(52)と貴乃花親方(43)が相まみえる相撲協会理事長選挙まで1週間足らず。外部理事の元に殺害予告の電話が入り、不穏な空気が漂う協会で何が起こっているのか。外部理事の宗像紀夫氏(74)が表明するのは、八角親方による「協会私物化」への懸念。

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八角親方

「私は相撲協会の次期理事長については、八角さんでも、貴乃花さんでも、あるいは他の誰がやっても良いと思っています。私心なくやってくれる人であれば誰でもいいのです。

 しかし、現状を見てみると、北の湖さんの後を受けて理事長になった八角さんは、私心なく相撲協会を運営しているとはとても思えない。あらゆる重要な物事は理事会の承認手続きを経なければならないというルールは無視され、コンプライアンスはないがしろにされ、ガバナンスもなっていない。協会を私物化しようという傾向が顕著になってきているのです。危機感を抱いているのは私だけではありませんが、現役の親方衆は様々なしがらみもあって、声を上げるのはなかなか難しいでしょう。その点、私のような外部理事はしがらみもなく、問題を客観的に捉えることができるのです」

 そう語るのは、宗像紀夫氏。東京地検特捜部副部長として「リクルート事件」などの指揮を執り、東京地検特捜部長、名古屋高検検事長を経て弁護士に転じた宗像氏は、2012年から現在に至るまで相撲協会の外部理事を務めている。

■殺害予告の電話

 協会の次期理事長が選出されるのは春場所後の3月28日。この日行われる理事会において、理事による互選で決定する。目下のところ、八角理事長と貴乃花親方の一騎打ちになる公算大だが、その裏で凄まじい暗闘が繰り広げられていることは本誌でも報じてきた。しかし、次のような「事件」までもが発生する事態になっていることを知っているのは、ごく一部の関係者のみである。

「実は、相撲協会の外部理事の1人の元に殺害予告の電話がかかってきたのです。その外部理事は、すでに警察に被害状況を通報しています」(相撲協会関係者)

 殺害予告の電話があったのは2月8日午前11時半。その外部理事は右翼を名乗る男から、

「(理事長選で)八角に投票しないと殺すぞ」

 と、脅迫されたのだ。

「殺害予告の話は私の耳にも入っています。『殺すぞ』とはっきり言っているわけですから重大な事件です。理事長選の直前に起こった『異常事態』といって良いでしょう」(宗像氏)

日本相撲協会

■田舎芝居そのもの

 では、どのような経緯を辿り、「異常事態」が出来(しゅったい)するに至ったのか。相撲協会の内紛が顕在化したのは昨年12月18日。この日行われた理事会で、八角親方は貴乃花親方らが強硬に反対する中、正式に理事長に就任した。

「理事会が始まる前、八角さんは私にこう頼んできました。理事長を選ぶ際、外部理事は投票しない形にできないだろうか、と。外部理事とはいえ、他の理事と同じく議決権を持っている。その私たちに対して、投票棄権を迫ったのだから、とんでもない話です。

『いつそんなことを決めたんですか? そんなことはできませんよ』

 私はそう拒否した上で、次のように忠告しました。

『来年3月になったらどうせ正式に理事長を選ぶことになるんだから、焦ることはないでしょう。理事長代行でも権限は同じなんだから、そのままでいったほうがいい。異論がある中でやると後々問題が出るよ』

 しかし、八角さんは非常に焦っている感じで、

『いやいや先生、違う』

 と言っていました。

 そもそも、あの日、事前に通告された議題には、理事長を選ぶことは入っていなかった。それゆえ、

『そんなもの議題に入っていない。おかしい』

 と、問題視する声が上がったわけですが、その後、八角さんが理事長に決まるまでの流れは、田舎芝居そのものでした。尾車さんは、出走ゲートに入った馬みたいにいきり立っていて、最初から八角さんを理事長に選ぶ方向でいるように見えた。それで、正式に理事長に決まった八角さんが、

『事業部長は尾車さんにお願いしたい!』

 とか言ってね。まあ、あれだけの田舎芝居を見たのはしばらくぶりです。別の言葉で表現すれば、出来レースと言うこともできます」(宗像氏)

■手続き無視の理事長

 理事会でのこの一件で八角親方と貴乃花親方の間に走った亀裂。それがさらに深刻なものとなったのは、今年1月21日に起こった出来事がきっかけである。この日行われた評議員会で、山響親方の退任が決定。すると、八角親方はその後任に、自らの息がかかった年寄OBを押し込もうとしたのだ。元年寄が評議員になるためには、年寄総会での承認が必要。八角親方はそのルールを無視したわけで、事情を知った貴乃花親方が会議室に乗り込み、「おかしいじゃないですか」と詰め寄る騒ぎになったのである。

「新しい人を評議員に入れる時にきちんと手続きを踏まず、自分の好きな人を押し込もうとしたのだから、貴乃花さんが怒るのも当然。ガバナンスというのは、協会全体を統治する、治めるということです。理事長が恣意的に協会を動かすなどもってのほか。コンプライアンスもガバナンスもあったものではありません」(宗像氏)

「特集 殺害予告の電話があった『相撲協会』理事長選挙の大暗闘 『八角理事長に告ぐ 相撲協会の私物化を止めよ』――宗像紀夫(日本相撲協会外部理事)」より