日本アカデミー「監督賞」「是枝監督」が利かせたワサビ

映画週刊新潮 2016年3月17日号掲載

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 レオ様の初受賞で盛り上がったアカデミー賞だが、翻って「日本アカデミー賞」はどうだろう? 病を押して司会を務めた西田敏行、吉永小百合の包帯姿……。

「ちょっと話題になったのは、『海街diary』で最優秀監督賞、最優秀作品賞などを受賞した是枝裕和監督のスピーチでしたね」

 とは映画ジャーナリストの大高宏雄氏である。曰く、

〈20年、映画をやってきたが、この賞は最近まで人ごとだった。(中略)このイベントが本当に日本の映画人の、みんなのイベントになるためにはまだまだ色々な改革をしないといけない……〉というもの。

「昨年は北野武監督が、映画各社の持ち回りの映画賞だと言い放ち、日本アカデミー賞協会会長の岡田裕介・東映会長が異例の反論をしていました。持ち回りとまでは思いませんが、橋口亮輔監督の『恋人たち』のように他の映画賞では評価の高かった作品も、日本アカデミー賞では作品賞に引っかからないという、メジャー指向の傾向はある」(同)

 是枝監督の『誰も知らない』(2004年)は独立系映画会社の作品だが、カンヌ国際映画祭はじめ国内外で絶賛されながら、日本アカデミー賞とは無縁。

 映画評論家の白井佳夫氏は、興味なさげに言う。

「是枝監督はテレビ出身の人ですからね。映画業界は排他的なところがあるから。映画評論家の私も会員ではないけれどね」

 日本アカデミー賞は同協会員全員によって選考されるのだが、全3909人(2015年度)いる会員の内訳を一部紹介すると、俳優136人、監督136人、松竹224人、東宝255人、東映255人、日活53人、角川154人、テレビ局などの賛助法人社員1485人……といったところ。

「以前、別の映画賞の審査員に映画監督を招いたら、見事に観ていないことがわかって愕然としたことがある。会員の皆さんは自分と関わりのない映画をどれだけ観ているのかねえ」(同)

 会員証があれば、主要劇場はタダで観られるのだが。