全豪テニスで快進撃「大坂なおみ」はリオ五輪に出られるか?

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 オコエからサニブラウン、ケンブリッジ飛鳥に鈴木武蔵まで、芸能界のみならずスポーツ界もまた、ハーフの人材が席巻しつつある。そんな中、またも新星である。今回の全豪オープンテニスで快進撃をみせた大坂なおみ(18)。いきおい、8月開幕のリオ五輪出場を推す向きも出始めているのだ。

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 スポーツ紙記者が言う。

「大会前は世界ランク127位だった大坂は、予選3戦を勝ち抜いて本選に進みました。4大大会初出場にして、2回戦では世界ランク21位のスビトリナ(ウクライナ)を破り、一気に注目を集めたのです」

 次の3回戦では、元世界女王でランク16位のアザレンカ(ベラルーシ)にストレート負けを喫したが、180センチ69キロ、ハイチ出身米国人を父に持つ彼女のサーブは最速で200キロ超。従来の日本選手とは桁違いのスケールだ。

「まだ粗削りではありますが、久々に女子テニス界に明るい材料ができました」

 とは、元プロテニス選手の神和住純・法政大教授。

「女性の場合、相当なパワーがないと190キロは出せません。ショットにしてもフォアハンドのグリップを厚めに握っていて、ヒットする時によく押しているので、球がすごく伸びる。スピードのあるサーブと強打のウイニングショットを持っていますから、経験を積んで体力をつければさらに上を目指せると思います」

 国際テニスライターの神仁司氏も、こう言うのだ。

「私が注目し始めた2年前は、サービスエースかミスショットか、という両極端なプレーでしたが、最近はサーブもストロークも緩急をつけ、ウイニングショットと繋ぐ球とを打ち分けている。非常に頭を使ったテニスをしていると感じます」

■100位に入れば

 大坂は4歳の時に家族で米国に移住。現在はフロリダに住み、日米両国の国籍を持つ。日本テニス協会には所属せず、フリーで試合に出場している。

「JOCの強化指定選手に選ばれており、本人も『日本代表として東京五輪に出たい』と意欲を見せています」(前出記者)

 とはいえ、今回の活躍で“4年後でなく今年”との声は高まるばかり。

「リオ五輪のシングルス出場枠は、6月6日発表の世界ランクをもとにした56人と、国際テニス連盟の推薦枠8人の計64人。原則として、前回五輪からの4年間でフェド杯の代表に3回以上選ばれていることが条件ですが、直近で著しくランクを上げた選手はこの限りではありません」(同)

 大坂は今回、107位前後にまで上がる見通しで、

「100位に入ればグランドスラムの本戦から出場可能となり、体力も温存できる。一気にランクが上昇する可能性もあります」

 元プロテニス選手の不田涼子氏はそう指摘し、

「5月末の全仏はクレーコート。芝を得意とする彼女がどう戦うかですが、それまでコンスタントにツアーに出てランクを上げていれば、リオ五輪も夢ではありません」

 56人に入れなくとも、前述の推薦枠がある。

「18歳の新星が目に留まれば、連盟とIOCが話し合った結果、『ワイルドカード』で選ばれる可能性もあります」(前出・神氏)

 一躍、日本の“切り札”になるかもしれないのだ。

「ワイド特集 禍福の立春大吉」より

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

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