大腸炎が活動期!「安倍総理」のお薬3錠 たかが3錠、されど3錠、その意味を解説

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 懐かしき民主党政権時代は、国家の秘密がダダ漏れだった。なにしろ、国のトップが「宇宙人」だったり「瞬間湯沸かし器」だったりと、他国に知られたくない最高機密が満天下に晒(さら)されたのだ。だがついに、安倍政権でも総理の健康状態という秘中の秘が明るみに!

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安倍晋三総理

 1月12日、東京株式市場は全面安となり、株価は年明け以降6営業日連続の下落を記録した。アベノミクスに不吉な足音が忍び寄っていた。

 その日の午前、衆議院第一委員室。予算委員会に臨んだ安倍晋三総理(61)は批判の集中砲火を浴びていた。4日前の自身の発言が、「パートで25万円稼ぐ主婦」を前提とした発言と受け取られ、民主党の議員から「感覚がずれている」と槍玉に挙げられたのだ。

 昼の休憩を挟んで午後の予算委員会。引き続き、民主党議員による質問が予定されていた。

〈またネチネチと攻められるのか〉

 安倍総理の心中が穏やかならざるものであったことは想像に難くない。

 午後0時56分、4分後に再開される予算委員会に備え、再び第一委員室の閣僚席についた安倍総理。紺のスーツに水玉のネクタイ、そして胸元にはブルーリボンバッジ。いつもと変わらぬ彼がそこにはいた。だが、次の瞬間だった。

 右手に持った「何か」を安倍総理が口に放り込む。それを、左手で持ち上げたグラスの水とともに一気に臓腑へと流し込む。銀紙と透明の半球状シートに包まれたその「何か」は小豆色をしている。「何か」が抜き取られ、残骸と化した銀紙にはこう記されていた。

〈アサコール〉

 そしてその残骸は、彼がそれを3錠飲んだことを物語っていた。たかが3錠、されど3錠。この数字は、医学的には重要な意味を帯びているのだった――。

■潰瘍性大腸炎の処方薬

「池田勇人元総理の喉頭癌は『前癌症状』というよく分からない説明がなされ、正式病名は亡くなるまで伏せられていた」(政治評論家の浅川博忠氏)し、フランスのミッテラン大統領の前立腺癌も約10年間、公になることはなかった。古今東西、指導者の健康状態はトップシークレットとされてきた。病を抱え、いつ倒れるか分からないリーダーと外交交渉をしても意味がない。外国に見縊(みくび)られないためにも、トップの健康状態はひた隠しにされるのだ。

 翻(ひるがえ)って、アサコールを3錠飲む姿が明るみに出た安倍総理。これが、昼食後の口直し用の仁丹やフリスクだったら何の問題もない。しかし、アサコールは紛う方なき医薬品である。第1次政権がわずか1年で幕を閉じる引き金となった彼の持病、潰瘍性大腸炎に効くとされる処方薬なのだ。

 国会取材歴が長い、ベテランカメラマンが驚く。

「数十年、永田町を取材していますが、国会議員が、しかも総理大臣が人前で薬を飲む姿など見たことがない。そりゃ、そうでしょう。たとえ胃薬であったとしても、『胃に問題を抱えた人に総理の激務が務まるのか!』と、追及されるのは目に見えていますからね」

■服用量を見る限り……

 とはいえ、安倍総理は潰瘍性大腸炎であること及び、アサコール服用の事実を隠しているわけではない。

〈私はもともと「潰瘍性大腸炎」という持病を抱えております〉

〈初めて発症したのは十七歳の頃でした〉

〈激しい腹痛に襲われ、トイレに駆け込んだところ、夥(おびただ)しい量の下血があり、便器が真っ赤に染まったのです〉(いずれも「文藝春秋」2008年2月号)

 こう告白しているし、

〈アサコールという飲み薬が画期的に効いて〉(「消化器のひろば」12年秋号)、政治家、そして総理として復活できた旨も語っている。

 しかし、である。

 安倍総理はアサコールを3錠飲んでいたのだ。2錠ではなく3錠を。同薬の処方箋にはこう書かれている。

〈活動期には、1日3600mgを3回に分けて食後経口投与する〉

 アサコールは1錠が400mg。1回3錠を、朝昼夜の3回服用すると計3600mgになる。なお、寛解期という「平穏時」には1回2錠服用する旨が処方箋には明記されている。つまり、安倍総理の潰瘍性大腸炎は目下、服用量を見る限り活動期であることになるのだ。時の総理を辞任に追い込んだ持病が、いま再び活動期を迎えている――。処方箋が指し示すこの状況を前にして、政敵ならずとも「前途」に思いを致さずにいられる者はいまい。

「特集 大腸炎が活動期!『安倍総理』のお薬3錠」より

週刊新潮 2016年1月28日掲載

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