根本的な治療には至らない『やってみて驚いた! ココナッツオイルお口クチュクチュ健康法』

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 多く提唱される“健康法”の類の中でも、昨年、ブームに火が点き、いまも根強い人気なのが、“ココナッツオイル健康法”だ。アヴェニュー六本木クリニックの寺島洋一院長が監修した『やってみて驚いた! ココナッツオイルお口クチュクチュ健康法』などで取り上げられている。

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昨年、ブームに火が点き、いまも根強い人気なのが、“ココナッツオイル健康法”だ

 その本では、歯周病を患う50歳の男性がココナッツオイルでうがいをすると、歯茎がピンクになったとか、糖尿病の64歳男性がココナッツオイルを飲むようになったら血糖値が見る見る下がったなどの症例を公開している。そして、寺島院長の解説によると、ココナッツオイルは、肥満解消や糖尿病に効き目があり、さらには心筋梗塞や脳梗塞などの予防・改善、肺炎や歯周病、胃炎などにも効果を発揮するという。

 まさに、万能薬のようなのだが、鶴見大学歯学部の花田信弘教授はこう話す。

「歯周病やむし歯の原因となる“バイオフィルム”は、歯医者で機械を使って物理的に除去するしかない。抗菌作用を持つとはいえ、ココナッツオイルでうがいをしても一時的な効果に過ぎません。歯周病やむし歯の根本的な治療はできないのです」

 なおかつ、池谷医院の池谷敏郎院長(循環器専門医)も、

「ココナッツオイルが注目されるきっかけは、肝臓で代謝されると脳のエネルギー源となるケトン体が増え、認知症の症状が改善したことです。ただし、1グラム当たり9キロカロリーと砂糖よりも高カロリー。認知症でない人がダイエットもせずに無闇にココナッツオイルを摂取すれば、肥満や糖尿病の原因となり、却って認知症のリスクを高めてしまう可能性もあります」

「特集 巷にはびこる『怪しい健康法』の真贋判定」

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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