作者は取材拒否! ベストセラー『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』に異議アリ

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 数多く出版される“健康本”というジャンルにおいて、『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』はベストセラーといえる。昨年7月の段階で、100万部を突破した作だが、その中身を検証してみると……。

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ベストセラー『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』に異議アリ

 執筆したのは、身心健康堂お茶の水の院長で鍼灸師、槙孝子氏である。

 著書では、

〈ふくらはぎをまめにマッサージすると、血液の循環がよくなり、体が温まる。その結果、体の組織が活性化して免疫力が上がり、血圧が安定する。ぐっすり眠れて肌荒れが治り、ダイエットにも効果的〉

 などと謳っている。

 ざっと、その内容は次のような具合だ。

 重力のせいで、人間の血液の70%は下半身に集中。ふくらはぎは、心臓に血液を送り返すポンプとしての役割を担い、第2の心臓とも呼ばれている。そのため、ふくらはぎの動脈周辺の筋肉を揉めば、血流が良くなり、万病のもととなる“冷え”も解消。デトックスやダイエット効果も期待でき、免疫力も高まることから、がんやアトピー、花粉症にも効き目があるという。

■疑問だらけ

 しかし、

「とにかく、その本に書かれていることは科学的には疑問だらけ」

 と憤慨するのは、池谷医院の池谷敏郎院長(循環器専門医)である。

「そもそも、動脈はふくらはぎの奥の方を流れているので、表面から揉んだだけでは血流は期待するほど良くならない。つま先立ちをしたり、あるいは足首を動かした方が、ただ揉むだけより何十倍も効果的です。ましてや、ふくらはぎを揉んで、がんやアトピーまで万病に効くはずがありません」

 ミリオンセラーにもかかわらず、“インチキ本”と疑われているのである。

 そこで、槙氏に聞くと、

「取材は一切、受けていません」

 とのこと。

「特集 巷にはびこる『怪しい健康法』の真贋判定」

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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