企業が悲鳴を上げる「ココロの健康診断」義務化

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〈職場の雰囲気は友好的ですか?〉こんなことを聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。むろん、返答に躊躇する人は少なくないはずだが、早ければ11月からこの質問に答えなければならない。しかも、会社で回答を求められるのだ。

 患者数100万人と言われる鬱病。厚生労働省によれば、2014年度に鬱病など心の病が原因の労災申請は、1456件で過去最多だった。そこで職場対策として始まるのが『ストレスチェック制度』だ。全国紙の厚労省担当記者の解説では、

「ストレスチェックは、昨年6月に労働安全衛生法が改正されて12月に施行される“法律”です。従業員50人以上の企業が対象で、調査票を使って社員のストレス検査を年1回実施します。その結果次第で、企業は社員に医師との面談を促したり、職場環境を改善しなければなりません」

 調査票には57のチェック項目があり、冒頭の質問はその1つ。スタート前の11月から調査票を配布する企業も少なくないという。

「ウチのような会社で対応するのは難しいです」

 こう嘆くのは、社員70人を抱える都内の中小企業社長だ。

「調査票を医師に提出するのにも社員1人あたり数千円かかるが、すべて会社負担。社員のためとはいえ、そんなものにカネを注ぎ込む余裕などありませんよ」

 違反しても口頭注意を受けるくらいだが、

「ストレスチェックを行わず、社員が鬱病などで労災申請して、その後裁判沙汰になったら勝ち目はありません。また、企業イメージも著しく低下することは否めないでしょう」(先の記者)

 ストレスチェックの結果、社長の危険度が一番だったりして。

週刊新潮 2015年10月8日号掲載

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