「天地真理」が激白! 「柳沢きみお」も瀬戸際! 誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証する

国内 社会 週刊新潮 2015年10月1日号掲載

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日本独特の価値観に縛られ

 ともあれ、大西氏はこんな例を挙げる。

「うちに相談にきた60代の男性は、元々は一般企業に勤め、年収500万円ほどでしたが、50歳のころに母親が認知症を患い、介護に専念するために退職。しかし再就職しようにも、50代では条件に見合う仕事は見つからず、介護のストレスも溜まって鬱病になり、生活保護を受けています。介護つきマンションや老人ホームを探せば、仕事を辞めずに済んだはずですが、それでも自宅介護を選んだのは、“親の面倒は子が看る”という、日本独特の価値観があったからです」

 似ているのが、離婚をきっかけに身を落とすケースだという。

「ある50代の男性は、40代でリストラに遭って離婚を切り出され、持ち家と子供は妻に渡し、自分は賃貸アパートに一人暮らし。そのうえ養育費を月々支払い、新しい仕事は見つからない。リストラされたのなら、財産は半々にするなど、もう少し自分の人生設計を考えるべきでした。離婚後に苦しむケースは、男性が財産分与の際に見栄を張り、ほとんどを妻子に渡してしまう場合もあるんです」(同)

 全日本年金者組合東京都本部の年金アドバイザー、芝宮忠美氏(73)も、介護が足枷になる例を挙げる。

「最近、相談に来られた女性は、40代のころ母親の介護のために仕事を辞め、母親が亡くなったときには自分が50歳を超えていて、再就職もままならなかった。それでも、老人ホームに入れることだけは“絶対に嫌だった”と言うんです。結局、母親が亡くなると都営住宅から強制退去させられてしまい、私と相談した結果、生活保護を申請することになりました」

 やはり“美徳”を優先して、自らの首を絞めてしまったのだ。ところで、芝宮氏自身も「老後破産」に近い状態にあるという。

「私は同志社大学を卒業後、外資系のヒルトンホテルに就職して、最初の赴任地がアラブ首長国連邦の首都アブダビ。その後はクウェートやイギリスなどを転々とし、52歳からはスウェーデンで、定年退職後、帰国しました。当時の年収は700万円ほどで、妻と2人で普通の老後が送れると思っていましたが、海外勤務が長く、厚生年金に未加入の期間があって、年金受給額は月7万円弱。病気の妻の障害年金が約10万円ありますが、妻は人工透析を受けに週に3回病院に行くので交通費がかかり、週2日のデイケアの費用も3万円ほどかかる。そのほかの出費も積み重ねると、家賃4000円の都営住宅に住んでいても、毎月、収支はギリギリなんです」

 だが、必死に介護したくなる家族がいる人は、まだ幸いなのかもしれない。シニアの生活相談を行っている全国SLA協会事務局長の石寺弘子さんは、

「家族とのコミュニケーションが上手くとれているかどうかも、老後破産を防ぐうえで大事な要素」

 と言って、実例を示す。

「全財産をはたいて二世帯住宅を建て、息子夫婦と同居を始めたものの、何かにつけ嫁と揉めて嫌気がさし、家を出てアパートを借りた方がいます。年金だけではやっていけませんが、財産はもうなく、息子夫婦に家賃の支払いを求めたところが、取りあってもらえず困っている、という相談でした。また、家族の問題で最近増えてきたのは、自立しない子供を抱えた親からの相談ですね。働かない息子を抱え、生活の面倒は見てあげたいが、自分が病気をして入院中に預金を下ろされ使われてしまい、退院したら生活費にも困る状態になっていた、という相談もありました」

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