「天地真理」が激白! 「柳沢きみお」も瀬戸際! 誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証する

国内 社会 週刊新潮 2015年10月1日号掲載

  • ブックマーク

100円のお惣菜を半額で

 さて、話を原点に戻すと、老後破産の“王道”は、なんらかの理由で仕事を追われたケースである。それは予期できないという点で、誰にも他人事ではない。

 大阪で日雇い労働者やホームレスの生活支援に取り組む野宿者ネットワークの生田武志代表は、

「40代、50代のときに仕事を失い、再浮上できないまま破産状態に追い込まれる人もいます」

 と言って、続ける。

「府内に住む60代の男性は、調理師として働き、30代のころは月に30万~40万円稼いでいたそうですが、バブル崩壊の煽りで店が倒産。40代から土木作業に転じますがケガが多く、50歳を前に解雇。その後は転職もできず貯金も尽き、生活保護を受給しています。やはり生活保護を受けている60代の男性は、大阪市内で複数のスナックを営んでいましたが、倒産して借金を抱え、10年前に離婚。住まいが奥さんの実家だったために住居も失い、自己破産してしまいました」

 また、最近は若くして破産状態に追い込まれる人も多いと、こう続ける。

「ある20代の女性は、理系の大学院を卒業後、企業の研究機関に勤めていましたが、企業がその事業から撤退して研究機関が廃止されてしまった。レジ打ちなどのアルバイトをして過ごすものの、腰を悪くしたりして長く続かず、転職活動もままならないうちに精神的にも病んでしまった」

 若者がこうなら、高齢者にはなおさら厳しいのは当然である。都営住宅に住む66歳の男性が語る。

「鹿児島から上京して獨協大学に入学し、卒業後は浅草有線放送などで正社員として働きましたが、競馬にはまったりして退職。新聞の勧誘や清掃などをして過ごしました。収入は月13万~14万円程度で、家賃は6万円。独身だし身体は丈夫なので生活できました。ところが5年前、鷺宮のホテルの清掃の帰りに、新宿駅で腹痛に襲われて意識を失った。急性腹膜炎で危険な状態だったらしくて、意識がないうちに手術され、3週間入院して50万円の医療費がかかった。それは月賦で払うことにしたけど、もう体力がなくなって働けない。生活保護を受けていますが、それが恥ずかしくて……。食事は100円のお惣菜が夜は半額になるのを狙って食べています」

 続いて、やはり都内に住む69歳の男性の話である。

「18歳から自動車の組み立て工場で働き、20歳でやめて夜間学校に4年間通い、証券会社に正社員として入社しました。給料もよかったのですが、職場にパソコンが入ってきて、それを使えずにクビになってしまった。その後は警備員をしたり、飲食店で働いたりしましたが、月収15万円ほどで生活はぎりぎり。独身で傾きかけた両親の持ち家があるから、なんとかなりました。今は2カ月で16万円の年金だけで暮らしていますが、貯金はゼロで、食事は納豆と豆腐ばかりです」

 前出の石寺さんは、

「今は医療の進歩もあって、高齢者の方も元気。退職後を第二の人生ととらえ、アクティブに行動する人が増えましたが、その分、交際費もかかり、生活を圧迫している場合もあります」

 と言う。たしかに、長生きのためには「アクティブであれ」と説かれるが、アクティブに行動する余裕がある高齢者がどれだけいるのか。また、アクティブな行動によって得られた長寿が、老後破産という悪夢と直結するなら、これほど皮肉な話はない。

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[5/5ページ]