大手を振って訪中する美貌の法輪功信者は「ミス・ワールド」カナダ代表

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 2022年の冬季五輪も北京に決定し、ほくそ笑む習近平国家主席に、1人の美女が切り込んでいる。中国政府が目の敵にしてきた気功集団「法輪功」メンバーにして、ミスコンのカナダ代表に選ばれた移民の女子大生。その対応如何では、歴代政権のアキレス腱となってきた“人権蹂躙”が、またぞろ露呈しかねない。

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 世に乱立するミスコンテストにあって、世界最高峰の一つとされるのが「ミス・ワールド」である。12月には、各国代表らによる決勝大会が“中国のハワイ”こと海南島の三亜市で開催される予定になっている。

 問題の美女は、5月16日にカナダ代表に選ばれた、アナスタシア・リンさん(25)。

「女優やモデルをこなしながら、トロント大学に通う女子大生です。出身は中国の湖南省で、13歳の時に母親とカナダに移住しました。法輪功の修練を受けた学習者であり、これまでも法輪功をテーマにした映画に出演。選考会においても、中国政府の姿勢を公然と批判してきたのです」(法輪功に詳しいジャーナリスト)

 法輪功は、92年に李洪志が創始。学習者が大きく増えた99年には、逮捕された仲間の釈放などを求め、メンバーらが政府高官の住む中南海を包囲する「中南海事件」が起きており、

「その年7月には、新華社が『共産党員は6000万人なのに法輪功は7000万人』と報道。当時の江沢民国家主席も警戒を強め、弾圧を本格化していきました。これまで、少なくとも3000人が、拷問などで亡くなったと見られています」(大手紙外信部デスク)

 現在に至るまで“邪教”扱いが続いているのだ。

■「告訴」された江沢民

 今回、代表の座を手に入れて間もないリンさんにもさっそく当局の手が伸びた。

「彼女自身がメディアに語ったところでは、5月20日、湖南省に住む父親に国家安全部から連絡が入り、『娘に政治的な発言を止めさせないと文化大革命を批判した家族のような目に遭う』と脅されたとのことでした」(北京駐在記者)

 が、これにひるまず、

「リンさんは、『恐怖はもちろん感じる』としながらも、『誰もが黙ってしまったら、世界中から正義を訴える人がいなくなる。これで私のカナダでの活動を止めさせられると思ったら大間違いだ』と、真っ向から対峙する姿勢をみせたのです」(同)

 法輪功の日本支部にあたる、日本法輪大法学会の稲垣兼太郎会長によれば、

「中国本土には、現在も数千万人単位で学習者がいるとみられますが、拘束されて修練を止めるよう誓約書へのサインを強いられ、拒むと拷問されてしまう。そんな状況を逃れ、現在はリンさんのように北米、あるいは台湾などに移住し、現地から迫害を批判している学習者が多数いるのです」

 中国の司法当局では、5月から“しかるべき告訴があれば立件する”との方針が実践されており、

「これを受け、中国在住時に暴行や拷問を受けた人たちが中心となり、99年当時の最高権力者だった江沢民を相手取り、中国の裁判所に次々告訴しています」(同)

 その数、すでに8万人に及ぶという。それでも、リンさんは晴れの決勝出場が叶わない可能性があるのだ。

「入国ビザが出されるかどうかは微妙です。06年にも、法輪功メンバーの虐殺を調べていたカナダの元国会議員らが、中国にビザ発給を拒否されている。今回出さなければ世界的に批判を浴びるでしょうが、出せば国内のメンバーが勢いづく。習近平にとっては、さぞ頭が痛いことでしょう」(前出記者)

 いずれにせよ、覇権主義が馬脚を現すのは間違いない。

「ワイド特集 女たちは荒野をめざす」より

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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