健康賛美社会へあえて異論を唱える/『不健康は悪なのか――健康をモラル化する世界』

社会

「お前、まだタバコ吸ってるのかよ」と親しい知人に注意される時、その言葉には必ず「体に悪いのに」という含みがある。それがまったくの善意からの指摘ゆえに、反論に窮する愛煙家は多いだろう。「喫煙習慣=不健康=悪」という構図が一般に定着しているから、喫煙者は無条件に「健康」を軽視する“反モラリスト”の烙印を押されているのだ。

 こうした構図で語られる“現代のモラル”はタバコだけではない。太りすぎていれば「もっと痩せないと」、酔っ払って帰れば「飲みすぎは毒だぞ」、子供に哺乳瓶で授乳させていると「どうしておっぱい(母乳)で育てないの?」――。

...

記事全文を読む