映画「新宿スワン」で注目 現役のスカウトマンが明かす厳しい実態

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半年持つのは1割以下

 そもそもスカウトマンとはどういうビジネスなのか。

「スカウトマンは原則、スカウト会社に所属している。性風俗の世界では女性を発掘した者の権利は大きく、女性が稼いだ10~15パーセントはスカウト会社に支払われ続ける。女性の売り上げが100とすると50~60が女性、15がスカウト。求人費用、営業費用、人件費と大きな負担があるため、店の取り分は25~30となっている」

 つまり月収100万円クラスの女性を3人スカウトした実績があれば、その女性が働き続けている間、毎月30~45万円が手に入る計算だ。

 が、現実はそんなに甘くない。そもそも女性の方の収入も減っているからだ。山部君によると、スカウトマンになってもほとんどの人は1カ月もせずに辞め、半年持つのは1割以下とのこと。彼は毎日、休みなく出勤して路上に立ち続けているが、現在の収入は20万円台で、30万円を超えたことは一度もないという。

 山部君の1日はこんな感じだ。

 15時に事務所に出勤。毎日数十分のミーティングがある。具体的なノルマこそないものの、数日間女性を1人も捕まえられないと、ミーティング時に上司から注意される。ミーティング後は、繁華街の路上に立って、終電までひたすら声をかけつづける。

外見にはこだわらない

 声をかける際、相手のルックスにはこだわらないという。山部君の話。

「よくこの業界で言われるのが、“ブス”に声をかけないのはダメってこと。誰が見ても可愛い女の子はどこに行っても稼げるわけだし。能力の高いスカウトマンは“ブス”を稼がせるんですね。“ブス”といっても、本当にまったくダメな子ではなくて、そんなにパッとしないというくらいのレベルとか、どこか特徴がある子です」

 仕事にあぶれているような女性を、適性を見た上で自分たちの持つ情報網をもとに稼げる店に紹介する。そのマッチングが上手くいけば、女性も店も自分たちもメリットがあるのだという。

 もっとも、彼らの仕事は紹介して終わり、とはならない。入店後も勤務が続くように女性たちをフォローしなくてはいけないからだ。

「精神的に問題がある子もすごく多いので、夜中に頻繁に電話をかけてきたり、リストカットしたり……。女の子が仕事を続ける限り、ケアし続けなければならないんですよ。まわりを見ても辞めないで続いているスカウトマンって、女の子にいろいろしてあげてるし、意外といい人が多いですよ。風俗店がどうして永久に(スカウトに)キックバックを払い続けるかというと、キャバクラよりも辞める子が多いんですね。きつい仕事なので。だから店からすれば、入店後も辞めないように管理してくださいね、ってことです。

 スカウトマンによっては、お金になる女の子は色恋をかけてホストみたいな感じで管理する人もいるし、毎日終わった後に食事を一緒にする人もいるし、出勤日は必ず送り迎えをする人もいる。そうやって女の子たちのストレスをケアして、愚痴を聞いてあげたりして、できるだけ長く続けることができるように努力している」

 山部君自身、終電まで路上に立った後、深夜以降は女性たちのフォローに追われて自分の時間はほとんどないという。

 そこまで苦労しても、収入は前述の通りであるし、「社会的には無職なので、健康保険も親の扶養のまま」(山部君)。そのうえ摘発、逮捕のリスクも常につきまとう。

 中村さんは、「2005年の条例改正前ならば、大学生がアルバイト感覚でやることもありましたが、今は逮捕のリスクもあるのですから、遊び半分で関わるような仕事ではありません」と語っている。

デイリー新潮編集部

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