まんしゅうきつこ 話題の美人漫画家が提唱する「ノビル女子」とは 30歳・実家暮らし・処女

エンタメ 文芸・マンガ

  • ブックマーク

Advertisement

 漫画家のまんしゅうきつこさん。4月7日発売の「週刊SPA!」で披露したグラビアが話題だ。これまで顔だしNG、そしてちょっと引いてしまうようなペンネームながら、実物は超美人! と噂だけが先行していたが、ついに解禁。勢い余ってセクシーな姿まで披露。そして自身がお酒に溺れる日々をつづった『アル中ワンダーランド』(扶桑社)を発売と、どんな変人なんだよといぶかしむ声がネットには溢れた。

 ところが『アル中ワンダーランド』と同じく4月9日に発売される初のオリジナル漫画『ハルモヤさん』は、こちらが赤面するほどなんとも真っ当な「遅すぎる青春漫画」だった。

■初のオリジナル漫画『ハルモヤさん』

『ハルモヤさん』は30歳すぎても実家ぐらし、図書館で働く月収11万の地味な独身女性「春靄(はるもや)きの子」が主人公。処女のまま北関東の田舎町で枯れてゆくことへの焦り。不幸ではないが何をしていても楽しくない。でも何かを頑張ることもできない。頑張ろうとすると眠くなってしまう。

 存在感の薄いハルモヤさんの周りにスペシャルな出来事は何一つ起こらず、久しぶりに会った憧れの同級生には存在さえ忘れられている。何の変哲もない土手に無造作に生える野蒜(ノビル)のような生活。自分の人生はまだ本番が始まっていないだけ、と目をそらしながら「頑張れない」日々をすごす。

 主人公のハルモヤさんは自分に通じるところがあるとまんしゅうさんは語る。2012年よりはじめたブログが話題となり、漫画家デビューを飾ったまんしゅうさんだが、ハルモヤさんのように鬱屈とした「何も頑張れない日々」を過ごしていた時期があるのだろうか? まんしゅうさんに話を聞いた。

■30歳実家暮らしの処女「ノビル女子」

――まんしゅうさんもハルモヤさんのように、鬱屈とした「何も頑張れない日々」を過ごしていた時期はありますか?

まんしゅう「わりと去年までそうでした。『何にもしないで一日が終わった…。どうしよう。自分は本当にダメな人間だな…なんで頑張れないんだろう…』と毎日もんもんと過ごしていました(笑)。」

――何も頑張れないハルモヤさんはいつか頑張れる日が来て、そして人生のモヤが晴れる日はくるのでしょうか?

まんしゅう「きの子には頑張ってもらいたい! という反面、このまますべてをスルーし続けて欲しい気持ちもあるので、今後の頑張りについては考え中です。でも結局何をやってもモヤは永久に晴れないと思いますよ。なぜなら、それが本人の生まれ持った魂の資質だと思うので。それを受け入れて生きていくのが、人生の修行のテーマなのではないか、と思います。」

――「干物女」や「喪女」「負け美女」なんて言葉がありますが、ハルモヤさんは見た目は悪いが食べるとおいしい、野蒜(ノビル)に例えられていますね。

まんしゅう「実は…『干物女』に続いて『ノビル女子』という名称が流行らないかな~なんて思ってます。」

――美人コメンテーターとして活躍する日も近いですね! でもそのお名前はちょっと……。なんでそんな名前に? 困ったことも多いんじゃないですか?

まんしゅう「単純に『ウケるかな~』と思ってつけましたが、広告の仕事は一切来ません。あと人に舐められます。いつかビッグになってお前ら見返してやるからな。ちゃんと怨みメモ帳に一人一人の名前メモッてるから覚えておけよ。これが私のモチベーションです。」

 まんしゅうさんの言動、グラビア、過去のブログを楽しんでいた読者は意外に生真面目な返答にびっくりしただろう。鬱屈とした心情をぶちまけるような二冊同時発売で明かされたのは、ふざけた仮面の裏に隠されたシリアスで悶々とした一面だった。ハルモヤさんは今後、長すぎたモラトリアムとどう折り合いをつけて行くのか。続刊が気になる作品だ。

デイリー新潮編集部

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。