「金正恩」の目の上のたんこぶは「金正日」を看取った腹違いの姉

韓国・北朝鮮 週刊新潮 2015年1月1・8日新年特大号掲載

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 あの金正日総書記が死して丸3年。北朝鮮情勢に詳しい龍谷大学の李相哲教授が、新事実を突き止めた。当局の発表と違い、将軍様は長女の金雪松(キムソルソン)(39)の自宅で倒れたというのだ。実は、最近、彼女は金正恩第一書記(30)にとって“目の上のたんこぶ”になっていると指摘する声が出ている。

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 金正日は、これまで現地指導に向かう「野戦列車」の中で倒れたことになっていた。しかし、実際は――。

 2011年12月16日。

 その日の午後、官邸にいた金正日のもとに正恩から電話が入った。すると、正日は激怒したそうで、

「ダム建設が計画通りに進んでいないとの報告を受けたらしい。それに対する苛立ちに加え、自分の後継者に指名した正恩への失望もあったようです」(李教授)

 午後6時前、心身ともに疲弊していた金正日は、雪松の自宅へ向かった。

「彼女とワインを飲んだ後、7時頃に寝室へ。1時間後、寝室から急を知らせるブザーが鳴った。雪松らが駆け付けると、正日は口から泡を吹いて倒れていた。直ぐに、医療設備の整っている別荘へ運んだが、午後11時頃、心筋梗塞による死亡が確認されました」(同)

 雪松は、正日と3番目の妻、金英淑(キムヨンスク)との子だが、

「正日は、父親の金日成の勧めで英淑と結婚。そのため、彼女は唯一、正式な妻と認められた。雪松は正日からも信頼が厚く、書記室で正日のスケジュールの管理を任せられていた」(同)

 正恩体制でも引き続き書記室で執務しており、

「党の各機関から上がって来る情報を集約、正恩に上げる『知伝』という部署がある。軍事予算から外交文書まで、彼女を介し正恩に届けられます」(事情通)

「コリア・レポート」の辺真一編集長は、

「正恩にとって、雪松は政治的な判断を下す上で重要な存在だと推測されます」

■サラミ戦法

 もっとも正恩の母親は、金正日の4番目の妻、高英姫(コヨンヒ)。つまり、正恩からすれば、雪松は異母姉になる。

「このところ、雪松は正恩の目の上のたんこぶになっている、との情報があります」

 と、北朝鮮ウオッチャー。

「高英姫は、在日朝鮮人二世で、北に渡って喜び組に入り正日に見初められた。そして、4番目の妻となった。雪松からすれば、高英姫は父親の愛人で、神格化するなんてもっての外。正恩は妾腹扱いです。“高英姫が在日だから、正恩は日本に甘い”と話しています」

 日本に甘いとは?

「日朝政府間協議で、北は拉致被害者や行方不明者などを調査するため、特別調査委員会の設置を受け入れた。これは、正恩の独断で決められたが、雪松はそんなものは設置する必要がないとの考えです」

 また、今後の対応を巡っても、両者の間に意見の違いがあるそうで、

「正恩は、拉致被害者や行方不明日本人について、日本から援助などの一定の成果があるならば、ある程度まとめて出してもいいと思っている。一方、雪松は“サラミ戦法で行け”と主張している。サラミは、薄く輪切りにして出す。要するに、日本人被害者は“小出し”にした方が有利に交渉を進められると考えています」(同)

 雪松が羊の皮を脱げば、張成沢(チャンソンテク)の二の舞になる。2人の関係は、案外、微妙か。

「ワイド特集 羊の皮を被った狼 虎の皮を着た羊」より