中高年は「こいつ、ナメてんのか」と嫌悪感も 目上の人の前での「スマホ検索」はNG!?

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■「物忘れ」は潤滑油

 会話の途中で、固有名詞が出てこない。誰だっけ、あの俳優、えーと、ほら、あれに出ていた……。

 一昔前ならば、こんな時、互いに「あのドラマの」「そうそう、あの役の」といった感じで名前を搾り出そうと努力したものです。年配の人ならば、「いやあ最近は本当に固有名詞が出てこなくて」といったセリフもそのあとに続きます。

 しかし、スマホの普及によって、そんな場面も減ってきました。ドラマ名などキーワードで検索すれば、大抵一発で答えが出てきます。

 実に便利になったものですが、そんな状況に「それっていいことなんだろうか?」と疑問を呈しているのが、フリーアナウンサーの梶原しげるさんです。梶原さんは、新著『会話のきっかけ』の中で「目の前でスマホ検索をするな」と述べています。

 オヤジ同士の会話で、互いに「一瞬の物忘れ状況」が生じる。こんな時に、ああでもない、こうでもないと記憶のたぐり寄せあいをするのも、また楽しみなのではないか。居酒屋でオヤジたちがクダをまくのもこういう世界を楽しむためという面がある。「名前が出てこない」「地名が出てこない」という老化現象は、会話の潤滑油となる事さえある――というのが梶原さんの意見です。

■「本気でDONDON」

 かつて梶原さんは、文化放送で「梶原しげるの本気でDONDON」という生放送の番組を担当していました。この番組は、その日のニュースについての素朴な疑問を関係者、専門家に電話をかけたり、直撃したりして聞くというものでした。イラク大使アポ無し訪問、テロリスト直撃インタビューといった「無茶」なこともやっていたそうです。

 しかし、こんな放送も「検索で答え一発!」の時代では成立しづらいだろう、と梶原さんは語っています。

「ネット上にある答えが、本当の正解かどうかは実のところ分かりません。答えを探すための、一見非合理的で非効率的なドタバタしたプロセスの中から学べる事は、今でも少なくないのでは」(梶原さん)

 こうした「スマホを使わない効能」に加えて、さらに、若い人に対してはこんなアドバイスもしてくれました。

「目の前の相手がケータイをいじっていることに、生理的嫌悪感を持つ中高年はまだ決して少なくないということも、おぼえておいていいと思います。若者に悪気はなくても、『こいつ、ナメてんのか』という気になる人だっているのです」

デイリー新潮編集部

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