原爆投下直後ほぼ唯一の記録/『ナガサキの原爆を撮った男』

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 戦争末期に日本の各都市が受けた空襲被害の惨状を記録した写真は、じつは意外に少ない。当時、住民自身がカメラを向けたとは防諜上からも考えられず、可能だったとすれば軍や警察の委嘱を受けたカメラマンに限られる。

 彼らの写真も、戦中は「国民の戦意を阻喪させる」、戦後は「米軍戦略爆撃の正当性を失わせる」からと、発表されることはなかった。そのまま行方不明になったものも少なくない。東京空襲だと、警視庁の石川光陽撮影のものが知られるが、国策グラフ雑誌「FRONT」で有名な東方社のカメラマンたちによる六百枚近くにもおよぶ未公開ネガの存在が再確認されたのは、つい先年のこと。...

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