猥雑と無垢が共存し得た時代/『天才アラーキーの良き時代』

アート

 七〇年代の中頃だっただろうか、深夜、新宿・歌舞伎町の入り口あたりにあったジャズバーの地階で著者を見かけたことがあった。丸い黒眼鏡にチョビヒゲ、女たちを前にひときわ甲高い声でエネルギッシュに喋りまくる姿が強烈な印象を残した。ひょっとして、本書に載った写真の撮影に出陣する直前だったのか。
 アラーキーの写真集は数多く刊行されているが、本書は偶然から生まれた。伝説の写真雑誌『写真時代』などを編集してきた末井昭が、昨年十月、白夜書房を退社することになったが、その際、倉庫から段ボール箱に入った大量の写真が出てきた。

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