「そうか、もう君はいないのか」――残された夫の孤独感、妻への万感の想い

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城山三郎『そうか、もう君はいないのか』刊行記念  【書評】静かに深く心にしみこむ、夫婦の絆/児玉 清

 最近、とみに思うことのひとつは、長年連れ添った妻に先立たれたらどうしようか、という恐怖である。できれば妻より先に、と折りにふれそのことを口にすると、いや私のほうが先よと言われ、じゃあ一緒になんてお茶を濁して苦笑しているのだが、城山三郎さんの『そうか、もう君はいないのか』というタイトルを目にしたとき、鋭い一撃ともいえる痛みが胸に響いた。

 後に残された夫の心を掬う、なんと簡潔にしてストレートな言葉だろう。最愛の伴侶を亡くした寂寥感、喪失感、孤独感とともに、亡き妻への万感の想いが凝縮されている。

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