習近平主席の「判断ミス」を中国人民が尻ぬぐい…深刻すぎる財政難で「シートベルトをしていても罰金を取り立てる」地方政府の横暴

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コロナ対策の判断ミス

 ところが2022年に感染力が強いオミクロン株の出現し、流れが変わる。

「中国は成功体験から封じこめにこだわりました。この判断が大きな間違いだったのです。オミクロン株は感染力が強いため封じこめは失敗し、国内各地で感染が拡大しました。地方政府は大規模なPCR検査の実施、感染者の隔離、濃厚接触者の追跡などに追われ、多額の予算を割くことになります。これが地方政府の財政に悪影響を与えた“原点”となったのです」(同・高口氏)

 この頃は日中で“逆転現象”が発生した。日本ではコロナ禍の沈静化が認識され、外出を楽しむ人も増えてきた。一方の中国では深刻な感染拡大に人々が苦しむ様子がテレビなどで報じられた。

「しかも封じこめに失敗しただけでなく、コロナ禍の長期化を招き、経済活動を停滞させてしまいました。そのため多額の予算が負担になっただけでなく、税収も減少してしまったのです。つまりコロナ禍が最初に地方政府の財政を悪化させ、それに現在起きている不動産バブルの崩壊や経済のデフレ化が追い打ちをかけたというのが正しい時系列なのです」(同・高口氏)

 コロナ対策に関する大きなミスから、高口氏は習主席の“変化”が読み取れるという。

デフレに冷淡な共産党

「習近平氏が国家主席に就任したのは2013年です。それからの中国は経済が好景気を維持し、国民は恩恵を享受していました。経済力を背景に習主席の対外発信力も強く、アメリカとの関係も18年に貿易摩擦が始まるなど色々とありましたが、今ほど険悪ではなかったと言っていいでしょう。ところが20年代に入ると前に見た通り、コロナ対策で封じこめに固執し、経済を冷え込ませてしまいました。さらに不動産バブルの崩壊、経済のデフレ化、地方政府の財政悪化という国家的な難題に対しても、今のところ習主席は有効な手を打てていません十分に有効な手を打てていないように見えます。外交でもアメリカやEUで対中強硬派が出現し、対応に苦慮しています。2010年代の習主席は15年の株価急落などはあったものの、打つ手が比較的うまくいっていたのに対し、2020年代の習主席は不運もあり、全てが裏目に出ている印象です」(同・高口氏)

 高口氏によると、中国共産党は“国民に寄り添う”ことを非常に重視するという。

「例えば、ある中国人が夜遅くまでスマホで動画を見ているとします。中国政府はインターネットをコントロールしていますから、規制を通じて動画アプリに依存防止機能を設けさせ、特に未成年には『動画を見すぎです。もう寝ましょう』というメッセージが表示されるほど、国民に寄り添います。過保護なほど国民に配慮する傾向が強いのにもかかわらず、デフレ経済で苦しむ国民への直接的な支援は限られ、冷淡な態度にも見えます。過保護と放置というギャップを不思議に感じることがあります」

習主席の無為無策

 ケインズ経済学など、デフレ経済下では公共事業を増やすべきとの考えは決して珍しくない。だが習主席は財政を出動して景気を下支えするといった、基本のデフレ対策を今のところは全く講じていない。

「中国共産党の幹部は、実は財政規律派が多いというポイントは重要でしょう。またAIやロボット産業の成長に過度の期待を寄せている可能性もあります。あと今のところ、良くも悪くも輸出だけが比較的好調なので、抜本的な対策を先送りしやすい環境でもあります。とはいえ、2020年代の習主席は突発的なコロナ禍に悩まされるなど“ツキ”に恵まれていませんし、そのためか判断ミスが目立ってきています。コロナ禍以降の国家的課題に毅然として対応していないため、中国経済をさらに悪化させる可能性があると考えています」(同・高口氏)

 前編【4期目が濃厚な「習近平主席」をじわじわ追いつめる地方政府の「デフォルト危機」…財政難を理由に“でっち上げで人民から罰金を徴収”する異常事態に】では、地方政府と運転手が結託し、荷主から罰金を巻き上げたという驚きの“冤罪事件”について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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