【卓球】川上流星(17)がユース五輪金メダル獲得! “ジュニア世代の天才”が期待通り“世界レベルの選手”になる卓球界の育成事情

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天才がそのまま成長できるのか

 流星は上京後、2025年世界ユース選手権U19男子シングルスで金メダル。U19男子団体戦でも金メダルを獲得。26年全日本卓球選手権大会ジュニア男子シングルスでも優勝。着実な成長を続け、ユース五輪では金メダルを獲った。

 私は4年前、姚の話を聞きながら、「天才がそのまま成長できるのだろうか?」、一抹の不安も覚えた。競技によって違いはあるが、例えば野球界で“天才少年”とか“怪物”と呼ばれた逸材が、高校年代になって埋もれてしまう例は枚挙に暇がない。ただ早熟であっただけの怪物は無数にいる。歳を重ね、同級生たちが怪物の身長を上回ると途端に“タダの人”になってしまう選手が野球には多いのだ。

 そんな実例を嫌というほど見ているから、どうしても疑心暗鬼になる。ところが、卓球は違うらしい。福原愛選手の例も象徴的だし、水谷隼、石川佳純、伊藤美誠、平野美宇、張本智和、張本美和らはいずれもローティーンの頃から注目を浴び、期待どおりの成長を遂げている。

 姚の指導する風景をガラス越しに見学しながら、父母たちが交わす会話もまた、野球少年の父母たちの会話と少し違った。野球少年の父母なら、「中学に行ったら軟式か硬式か、硬式なら地元のシニアかボーイズか、どこに入るか」といった話題が中心だろう。ところが、卓球ジュニアの父母たちの会話は地理的なスケールが違う。どの中学に進むか、その進路の候補は市内でも県内でもなく、東京に限ったものでもなく、日本全国、広範囲の学校の名前が当たり前に話題に上っていた。小学校を卒業したら親元を離れることがそれほど異例でもない、むしろ当たり前だと受け止める常識が卓球界にはある。そのおかげで日本の卓球が中国と肩を並べ、そして凌駕する勢いを得ている。善悪で語るつもりはない。それがスポーツ界の趨勢。そしてもちろん、夢に描いたとおりの目的地にたどり着くことが容易でない選手も当然いる。

 流星の先輩で、新発田ジュニア卓球クラブで最初に国際的な成果を挙げたのは姚の長男・龍崎東寅だ。東寅は2016年世界ジュニア卓球選手権の男子ダブルスで当時13歳の張本智和とペアを組み、準優勝に輝いている。ところが、シニア世代になってからは日本代表での活躍に恵まれていない。いまもTリーグ琉球アスティーダで活躍中だ。私は流星の成長を眩しく眺めながら、戦い続ける東寅の未来にも熱いエールを送りたい。

 いまは見出しにならない多くの選手たちが、卓球そしてスポーツを通して戦い、自分と向き合い続ける現実に思いを馳せる。そうした日常が彼らの糧となり、新たな希望のエネルギーになっているなら、スポーツに人生をかける選択はもちろん貴いだろう。

スポーツライター・小林信也

デイリー新潮編集部

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