【卓球】川上流星(17)がユース五輪金メダル獲得! “ジュニア世代の天才”が期待通り“世界レベルの選手”になる卓球界の育成事情
長く強豪・中国に苦しみ続けていた日本卓球界が、最近は対等かそれ以上の勝負を展開している。11月2日現在、男子シングルスの世界ランキング1位は日本の松島輝空だ。2位にフランスのルグラン、3位が張本智和だ。中国勢は4位と10位。女子は依然、中国勢が強い。1位、2位のほか4、5、7,8位とベスト10に6人の中国選手が並ぶ。その間を縫うように、3位に張本美和、5位に早田ひな、9位に佐藤瞳の日本勢が食い込んでいる。着実に中国の牙城を崩しつつあるのは明らかだ。【小林信也(作家・スポーツライター)】
ジュニア世代からの強化
そして3日、ダカールで開かれた第4回ユース五輪の卓球混合ダブルスで川上流星(
17)と松島美空(13)ペアが金メダルを獲得した。準々決勝で中国ペアを破り、準決勝では台湾ペア、決勝では香港ペアに勝っての優勝。松島は世界ランク1位松島輝空の妹だ。さらに、大会最終日の5日には男子シングルスも制し、丹羽孝希以来となる16年ぶりの金メダルに輝いた。
日本選手が世界の頂点を争う強さを纏うようになった要因に「ジュニア世代からの強化」があるのは言うまでもない。国内外で活躍するほぼすべての選手たちが、父母の影響で幼年期から卓球を始め、周囲が戸惑うほどの猛練習を重ねて育っている。ゴルフやテニス、水泳、体操など、本格的に競技者を目指し始める年齢が低い競技は他にもあるが、中でも卓球はその代表格と言えるだろう。
私は4年前、川上流星が育った新潟県新発田市の新発田ジュニア卓球クラブを取材した経験がある。
小学生時代、流星を指導したのは中国・上海出身の姚(よう)天明(日本名:龍崎天明)コーチだ。10代の頃、上海の大会で優勝した経験もあるが、選手よりも指導者としての活躍を求め、上海でプロコーチになった。その後、「本格的にスポーツ科学を勉強して質の高いコーチになりたい」と志して来日、横浜国立大学大学院で学んだ。滞在中に熱心な卓球愛好家・齋藤健と出会い、齋藤から「故郷・新発田市でジュニア卓球クラブを立ち上げたい。その指導を全面的に引き受けてくれないか」と頼まれる。姚は快諾し、98年春に大学院を修了すると新発田に移り住み、齋藤が作った卓球場で子どもたちの指導を始めた。閑静な住宅街の一隅にある飾り気のない建物が、世界に羽ばたく卓球選手たちを育てる“虎の穴”だとは、通りかかっただけでは想像もつかない。中に入ると、天井の高いフロアに8台の卓球台が並んでいる。
[1/3ページ]



