「いまこそ“地獄の伊東キャンプ”を開くべき」…秋季キャンプに1万人を集める「松井監督」人気のデメリット 「がんばれ!」の大合唱が若手の集中力を削ぐことも
工藤監督との違い
広澤氏は「選手にもよりますが、練習をファンの皆さんに見られると集中できないというタイプは意外に多いのです。私もそうでした」と言う。
「ファンの皆さんが『おおっ!』とか『きゃあっ!』と反応してくれたり、『頑張れ!』と声援を送ってくれたりするのは嬉しく、ありがたいことです。ただ、どうしても格好をつけてしまって、練習に心から没頭できなくなります。『泥臭い練習ができなくなる』という表現でもいいでしょう。特に今の巨人は若手の育成でチームを立て直す必要がありますから、キャンプでは練習量を増やさなければなりません。それこそランニング、素振り、守備といった基礎練習を泥臭く延々と続けることで、若手選手のレベルを引き上げるのです。私の場合、運がよかったと思うのは、当時のヤクルトは基本的にアメリカのユマで春キャンプを実施していたため、観客が皆無だったことです。さらに若手の時は人気チームではなかったこともあって練習に集中できましたし、泥臭い練習にも没頭していたと思います」
秋のキャンプで松井監督は「自分の課題は自分で見つけて克服していく」と選手たちに自主性を求めている。
一方、対照的な姿勢を見せているのは中日の工藤公康新監督だ。選手に「これから厳しい練習をやっていく」と予告。2日の守備練習では自らグラウンドで陣頭指揮を取り、選手を鍛え上げた。
“地獄の伊東キャンプ”の必要性
工藤監督の姿を日刊スポーツ(電子版)は「試合を想定した厳しい要求で、選手たちに何度もやり直しを命じるなど、早くもイズムを注入していた」と伝えた。(註)
広澤氏は「工藤監督と松井監督の方針は対照的だと言えるでしょう。ただ、若手選手を伸ばすという観点から見れば、工藤監督の指導方法のほうが理に適っています」と言う。
「長嶋茂雄さんは第1次政権の時、1979年のシーズンは5位に終わりました。そのため10月から“地獄の伊東キャンプ”を実施します。中畑清さんや篠塚利夫さん、江川卓さんといった当時の若手選手を伝説の猛練習で鍛え上げました。昭和の根性万能主義は今の時代に必要ありませんが、若手の選手に負荷をかけることは正しい指導法です。今の巨人でも本来であれば“地獄の伊東キャンプ”が必要だと思います。ただ、松井監督がやれるとかやれないとかの話ではなく、今の時代だと単純に選手がついてこないかもしれません」(同・広澤氏)
いくら松井監督の人気が絶大でも、今の巨人に戦力が足りないのは間違いない。4番打者も絶対的なエースも不在。松井監督が育てるにしても時間は必要だし、何よりも松井監督は指導者としての経験が不足している。
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