中国“日本批判”のターゲットは「VIVANT」最終回と「NHK紅白歌合戦」か? 「中国だって抗日ドラマを量産しているのに…」の反論が的外れな理由
問われるTBSの覚悟
高口氏は「『VIVANT』の問題は外務省報道官が定例記者会見で批判し、『人民日報』も記事を配信する事態となったことは極めて重要です」と言う。
「最初に『央視新聞』が論評を配信して以来、中国側が批判を行うと、それを中国のネット民が支持するという現象が繰り返され、盛りあがりを見せています。このため『VIVANT』の最終回が放送される11月8日と、主演の堺雅人さんがNHKの紅白歌合戦で司会を務める年末に日本批判が過熱する可能性が考えられます。また、中国政府は外交的な対立が生じた際、2020年に米国の記者に対して行ったように、記者証を剥奪して事実上の国外追放とする措置を講じたこともあります。現時点でそこまで進むとは考えにくいものの、TBSやNHKの記者に影響が及ぶことがないか、注視する必要があるでしょう」
高口氏は「日本では言論の自由が保障されています。もしTBSが毅然と『言論の自由を守るため、今後も『VIVANT』の第3シーズン、第4シーズンを放送し続ける』と発表するならば、私は諸手を挙げて支援します」と言う。
「ただし率直なところ、TBSがそこまでの覚悟や信念をもって『VIVANT』を製作・放送してきたようには見えません。いわゆる“チャイナ・リスク”に関して脇が甘かったのではないかと懸念を持っています。例えば中国の外務省報道官が記者会見で批判する事態に発展するとは全く予想できていなかったのではないでしょうか」
レベルが高いから批判
高口氏は「例えばハリウッドは一時期、中国市場を抜きにして映画を製作できない状況にありました」と言う。
「そのため、良くも悪くも中国を敵役に使うことを意図的に避けてきました。また日本のSNSなどでは『中国も抗日ドラマを放送しているではないか』との反論も目立ちますが、これは少し解説が必要でしょう。中国でも荒唐無稽な“抗日神劇”は国内で冷笑の対象となり、当局が規制に乗り出したほどで、社会的な影響力は限られています。ところが対照的にVIVANTは非常に高いレベルの作品であり、堺雅人さんというスターが主演し、実際に視聴率も圧勝だと報じられています。多くの日本人がドラマを支持しているからこそ、中国政府はある種の圧力を感じ、問題視するという重要なポイントが見過ごされていると思います」
そもそも中国が2020年にコミック「僕のヒーローアカデミア」を、今年2月にはアニメ「名探偵コナン」や「ポケットモンスター」を批判、政治問題化してきたという事実を多くの日本人は知らない。
前編【なぜ中国は“高市首相も見たがる”ドラマ「VIVANT」を激烈に非難するのか? 「ポケモン」「ヒロアカ」まで政治問題化させる“認知戦”の実態】では、中国が日本のエンターテインメントを狙い撃ちにしており、高市首相の発言も利用するという衝撃の事実と、高口氏の解説・分析を詳細に報じている──。
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