「三浦春馬さんを巡る陰謀論が活況」「ポイ活に1日100分も…」 現代日本の病理に専門家が警鐘

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【全2回(前編/後編)の前編】

〈こんな女に誰がした〉というフレーズで名高い歌謡曲が、人々に口ずさまれたのは戦後の混乱期である。およそ80年を経た今日、戦後とはまた別の“混乱”に頭を抱えている向きも少なくないだろう。ちまたに溢れる有象無象の生態から、現代日本の病理に迫る。

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 朝、スマホのアラームで目を覚ますと、特に用もないのにSNSを開き、次々と現れては消えていく泡沫のようなタイムラインを寝ぼけ眼で眺める。

 食事中にはお気に入りの動画を流し、電車の待ち時間にはゲームに興じる。帰宅してからもなんとなくスマホをいじり続け、翌朝に向けてアラームを設定してから眠りにつく……。

 米アップル社がiPhoneを発売してからおよそ20年。もはや、どこを見渡しても四六時中スマホを触る人々で溢れかえっているが、生活全体がスマホに支配されるのは、どこかむなしくないだろうか。

『スマホは心を操る』の著者で、立教大学社会学部教授の木村忠正氏が語る。

「民間企業と共同で、1997年から2023年までガラケーやスマホの利用者がどのようなアプリを使ってきたかを分析しました」

 まず驚いたのが、スマホの利用時間の長さだという。

「近年の総務省などによるアンケート調査では、“機器を問わないネット利用”で3~4時間ほどという報告があるのですが、スマホのログデータを見ると1日平均5~6時間。上位10%になると8~9時間という数字も出てきます」(同)

ポイントアプリに1日100分も?

 利用アプリにも明らかな変遷がある。

「ガラケー時代から、ネットは基本的に“気晴らし”で、17年ごろまではスマホ利用のうちゲームの占める割合が大きかった。やがて各種のSNSが発達して、その利用時間も増えていきましたが、20年ごろから、ゲームやSNSよりもポイ活アプリの利用時間が驚くほど増加しました。23年には1日あたりSNSに約40分、ポイントアプリに100分というデータもあります」(木村氏)

 アンケートに答えたり、ゲームをしたりするとポイントをゲットできるアプリが、ポイ活アプリだ。マイルをためるためだけに飛行機に乗る「マイル修行僧」なる存在まで生み出したポイ活だが、スマホでも大いに幅を利かせていたとは意外である。なぜ、それほどスマホでポイ活が行われているのだろうか。

「楽天系やドコモ系など、各社の“経済圏”が成立しているのが大きいのではないでしょうか。ポイ活アプリを使うと、同じ企業の別のサービスもお得になるような仕組みができている。ユーザーを自社のサービス群に囲い込み、自社の“アプリ経済圏”を回遊させようという構造が明確に見えてきます」(同)

 つまり、企業の手の平の上で踊らされているだけのようにも見える。

「スマホの背後にあるAIはユーザーの傾向を学び、デジタル空間で“増幅”している。このことを知らないでスマホを使っていると“自分で判断したつもりだったのに、実際には誘導されていた”ということになりかねません」(同)

 続けて、こう注意を促す。

「怒りや嫌悪のような強い感情を引き起こすコンテンツほど人の反応は大きくなります。するとAIは“こういうものには反応が増える”と学習し、結果的に極端な声だけが拡大されやすくなるのです」(同)

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