“最後の隠れた大地主”で「日本郵政株」は好調、それでも残る“不安と課題”
2015年の上場以来、長く低迷を続けた日本郵政の株価が今年5月に入って上昇基調へと転じ、マーケット関係者の間で話題になっている。国内の郵便物の引受数はピーク時(2001年度)の263億通から昨年度は117億通と半分以下に激減。郵便事業の赤字拡大が止まらない中、“好調”に映る背景について週刊新潮取材班が取材した。
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都内港区にある東京メトロ・白金高輪駅から徒歩2分。かつて日本郵政の宿舎があった敷地面積約1万1000平方メートルの土地は、昨年から始まった再開発事業により、現在は更地となっている。この地に2030年、店舗や保育園を併設した地上39階建てのタワーマンションが建つ予定だ。
さらに都内中央区の日本橋1丁目にある7階建ての旧日本橋郵便局(敷地面積約1万平方メートル)も、今年6月から解体工事が始まり、2034年度に高層オフィスビル(他社持分を含んだ延床面積は27万4000平方メートル)が竣工予定という。
東証関係者によれば、
「日本郵政は今年5月15日に中期経営計画を発表し、その中で不動産事業を新たな収益の柱として確立することを打ち出しました。同社は全国に多くの優良資産を保有することで知られ、期待感から海外投資家などを中心に買いに走る動きが広がったとされます。上場時の初値は1631円でしたが、9月4日にはこれまでで最高値の2603円を付けました」
日本郵政の発表では、グループで簿価にして1.4兆円の土地(今年3月末時点)を保有し、うち3割をすでに賃貸物件などに転用。それら稼働中の土地と建物を合わせた時価総額は約1兆6000億円にのぼるという。さらに開発中や開発候補となっている土地が1割強あり、冒頭の白金宿舎跡地や旧日本橋郵便局はこれに該当する。
「最後の大地主」
不動産コンサルタントの森島義博氏が言うには、
「白金の宿舎跡地を相場に照らして1平方メートルあたり240万円で計算すると、評価額は270億円となります。一方、日本橋の土地は1平方メートルあたり1020万~1200万円が見込まれ、最大で1200億円の評価額となる。いまや都心部でこれだけ広い土地が出回ることはありません。今回の発表で、日本郵政が“最後の隠れた大地主”であることが明らかになりました」
他にも、開発予定地には銀座や汐留、九段南などに加え、横浜中央局や京都中央局、福岡中央局といった各主要都市にある一等地が並ぶ。
松井証券チーフマーケットアナリストの窪田朋一郎氏が補足する。
「計画によると、日本郵政は今後、不動産事業に2600億円を投じ、将来的には総合デベロッパーとして業界トップ10入りを目指すとしています。昔は鉄道で郵便輸送をしていたため、集配などの関係から、全国の主要駅近くに土地を持っているのが最大の強み。同グループの不動産開発事業を代表するものとしては、東京や名古屋、大阪に建つJPタワーほか、森ビルと共同開発した麻布台ヒルズ森JPタワーなどが挙げられます」
新潮QUEで配信中の記事【“最後の隠れた大地主”不動産事業に未来はあるか――日本郵政株「好調」の理由】では、注目を集める日本郵政の不動産事業に立ちはだかる課題や不安点、さらに株価が好調な真の要因などについてより詳しく報じている。


