【フランス大規模デモ】「デモ本来の人々とウルトラ左翼・ブラックブロックと略奪だけが目的の人々は違う」現地在住日本人ジャーナリストが指摘する“今後の懸念”
略奪犯は誰なのか
10月17日、フランス全土で約55万人が参加した大規模なデモが起きた。放火、破壊、略奪行為も発生。日本のメディアも大きく報じたか、残念ながら混乱ぶりしか伝わってこなかった。フランスに半世紀以上在住するジャーナリスト、広岡裕児氏が現地ならではの情報をお伝えする。
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【写真を見る】覆面をかぶって落書きに略奪… 混沌とするパリの街並み
〈前編では、「デモが暴徒化したのではない」「デモと暴動は全く別の現象」という事実や、デモに集まった「3種類の人々」について紹介した。〉
では、誰が略奪を行っていたのか。テレビのニュース映像を見るだけでも、デモの参加者ではないと察することはできるでしょう。パリの場合、略奪を目的に集まってきたのは、スラム化した問題のある地区に住む主に若い世代です。リーダーがいるわけでも組織化されているわけでもありません。略奪は面白そうだと集まってきたのです。
1990年代にパリのみならずフランスの都市郊外の団地が急速にスラム化していきました。低所得者、失業同然の住民が増え、どうせ学校を卒業しても職がないと思う若者が増えた。治安も悪化し、取材はおろか、よそ者は立ち入ることすら危険になりました。スラム化した地区の若者は、警察や消防を権力として敵視し、嘘の通報でおびき出しては、石を投げつけ、花火を打ち込んだ。マルセイユでは壊れた冷蔵庫が降ってきたと警官から話を聞いたことがあります。麻薬取引のような犯罪の温床にもなっていきました。サッカー選手になるか麻薬取引で財を成すしか、この環境を脱出できないと語られていたほどです。
差別
フランスは人種や宗教での差別は決して強くありません。移民でもフランスに完全に同化していれば、移民であること自体はほとんど問題にされません。フランス生まれである移民2世3世ならなおさらです。有名人の例ではありますが、サッカーのフランス代表監督になったジダンの両親はアルジェリア出身、ジダンはマルセイユ生まれです。移民の家系でもフランス社会に溶け込み、国民の一員になっている。むしろ階級とでも言えるような面での差別が強い。その一例は学歴で、一番わかりやすい例は所得の差による差別です。
郊外の団地は貧しくて治安が悪いとレッテルを貼られ、そこが住所というだけで仕事に応募しても最初からはじかれる事態も起きています。郊外の団地の住民には確かに移民出身者が多い。彼らの多くは移民の2世3世で、フランスに生まれ完全に同化している人々です。自分達はフランスに同化しているのに、あの団地暮らしの貧しい奴らか、と差別されている、との思いを日常的に抱いている。
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