「脳みそが飛び出た遺体を見たことも」「NHKの集金のようにしつこい寄付」「だんじりベイビーも」岸和田市民が語る“だんじりに支配された町”の異様な実態
毎年、危険な事故で注目される大阪の「だんじり祭り」。今年も大阪府泉佐野市などで山車が転倒する事故が発生し、2名が死亡、十数名が重軽傷を負った。目を覆いたくなるような動画が出回る度に沸き起こるのは、「なぜこんな危険な祭りを続けるか」という疑問である。半世紀近く、一番盛んと言われる岸和田市のだんじり祭りに参加してきた男性に、他地域からは奇異に映る祭りの実態について話を聞いた。(前後編の前編)
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1年の4分の1を「祭りに捧げる」住民
「中学生くらいの頃ですかね。だんじり(山車)が倒れて地面に挟まり、男性が死んだ場面を目撃したことがあります。頭はぐちゃぐちゃで脳みそが飛び出ていましたが、大人たちは慣れた感じで連携して、法被を次々と脱いで遺体に被せていくんです。腹から体がちょんぎられてしまった事故現場に居合わせたこともあります」
いきなりグロテスクな体験を明かすのは、物心ついた頃から50年近くだんじり祭りに参加してきたという岸和田市民の男性Aさんだ。現在もある町で「世話人」と呼ばれる運営を取りまとめる役職を務めている。
Aさんは、泉州地域の市民はみな「だんじりで人が死ぬことに慣れている」と言う。
「特に岸和田に生まれると、だんじりは地域に欠かせない神事なんだと、子供の頃から自然と叩き込まれます。数えたことはありませんが、この50年間でも何十人と亡くなっていると思う。でも、岸和田市民はそこに疑問を差し込まない。いくら危険でも引き継いでいかねばならない伝統だと考えているのです」
反社が堂々と出入りしている町も
町は「365日だんじり中心に回っている」と言う。
「岸和田地域では9月、10月と2回に分けて開催するのですが、青年団などに入っていれば3カ月くらい前から準備に入り、本番までは毎晩準備のための『寄り合い』に参加します。1年の4分の1の期間を、仕事より祭りを優先で考える人が、町ごとに数百人くらいいるのです。本番前に試験曳きも2度行われるので、2カ月間で計8日間にわたって町の交通は規制され、町全体がお祭り一色となる。岸和田市民にとってはそれが当たり前の光景です」
ネット上では、花代と呼ばれる祭りへの寄付を断れば、村八分にされるという話が出回っているが、「あながち間違いではない」とも語る。
「強制ではないのですが、協力して当然だという空気感があります。NHKの集金みたいに、入れ替わり立ち替わり個別訪問してしつこく寄付を募る慣習があり、断りづらい。岸和田市民にとっては“税金”みたいなものですね」
今も祭りに反社会勢力が参加しているのも「公然の事実」と明かす。
「岸和田では30くらいの町からだんじりが出ますが、5つくらいの町で反社や暴走族の番長クラスだった半グレみたいな人たちがあからさまに出入りしています。ヤンチャな子供は、自分の町ではなく、わざわざ柄が悪い町に越境して参加したが傾向もある。実際、祭りになれば、そこかしこで刺青を背負った男同士の喧嘩も起きるし、未成年は飲酒・喫煙しています。祭りの期間は岸和田署の留置所がいっぱいになり、警察の監視が緩くなるとも言われている。私が若い頃はマリファナを堂々と吸い回す不良たちがいたものです」
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