「しんどい思いをせず、8キロ減」 血糖値のスペシャリストが教える「ゆる~い糖質制限」

ドクター新潮 ライフ

  • ブックマーク

“頑張らない”七つの工夫

 血糖値の敵はストレスですから、“頑張らない”ストレスフリーの状態をつくるのがいちばんです。ではどうするか。長年の外来で効果があった「ゆる~い糖質制限」や、長続きする糖尿病対策を七つご紹介します。

その1 炭水化物には必ず「ちょい足し」

 ごはんやパンなどの炭水化物を「そのまま単体で食べる」のは回避して、必ず何かを加えて食べましょう。以前の私は、血糖値の測定器を一日中装着して実験していました。そのときに驚いたのが「トーストに何も塗らないで」食べるのと、「トーストにバターを塗って」食べるのとでは、なんと前者のほうが血糖値が高くなる事実です。「えっ、バターを塗ったのに!?」と当初は機械の故障すら疑いましたが、塩おにぎりや素うどん、かけそばといった“単体の炭水化物”で試すと、いずれも血糖値が急上昇。一方で、卵やチーズ、バター、野菜、調味料といった「ちょい足し具材」を炭水化物に加えるだけで、血糖値の上昇はグッと抑えられたのも驚きでした。

その2 「ベジファースト」を料亭風に

「ちょい足し」同様に、「食べ順」を変えることも、簡単に血糖値を下げるコツです。炭水化物の前にサラダ、ゆで卵を食べるだけで、効果はてきめんです。急激な上昇を「血糖値スパイク」と呼びます。これは血管に炎症を起こし、臓器を大いに傷つける現象。ですから糖尿病治療では血糖値スパイクの回数を減らすことが重視されます。

 その方法の一つが、普段の食事で野菜を最初に食べる「ベジファースト」。例えば、料亭に来た気分で、野菜→汁物→魚か肉→最後にごはんを少々。1皿ずつ順番に食べるだけで、血糖値の上下は驚くほど緩やかになりますし、減量にも効果があります。

赤みの肉をゆっくり味わう

その3 生活習慣はあえて、変えない

 新しい習慣を組み込もうと無理すると、まず長続きしません。ですから、よく牛丼を食べる方には「牛丼をやめよう」ではなく、「サラダかみそ汁を足して、先にそれを食べましょう」と提案します。運動が苦手な方には「家の階段を1日3往復増やしましょう」「歯みがきしながら2~3分スクワットしましょう」と、自宅内でまずできることから。朝晩やれば、これだけでも週30分の立派な運動に。糖尿病治療は長期戦になることも多いからこそ、生活スタイルを変えない工夫が大切です。

その4 外食するときは“主導権”を握る

 友人や知人に外食に誘われたとき、食事制限をしている人は「行きたくないな」と感じるものです。だからって外食できないのは悔しいですよね。そういうときは食事制限を逆手にとって、店選びの上手な方になりませんか? 例えば、外食に誘われたら、あなたが食べられるジャンルや好きなお店を率先して指定して、主導権を握るのです。

 また、自分以外の人が選んだお店であっても、食べたくないものが提供された時には、「事情がありまして、この一皿は遠慮させてください」と言いましょう。「事情があって……」という魔法の一言で、たいていの席は乗り切れます。

その5 赤身の肉をゆっくり味わう

 突然ですが、質問です。

「みなさんは、昨日の晩ごはんを“何分”で食べましたか?」

 5~10分という方は早食いの傾向があるので、肥満や高血糖のリスクが高いかもしれません。満腹中枢は食べ始めて15分ほどで働き始めるため「満腹と感じる前に食べ過ぎる」ことが多いのです。できれば15分以上かけて食事をし、血糖値の上昇を抑制したいものです。

 ゆっくり食べるための簡単な方法は、「よくかんで食べるもの」を選ぶこと。例えば赤身の肉や、イカやタコの刺身、こんにゃく、生野菜など。しっかりとかんで食べると、インスリンや“痩せホルモン”とも呼ばれるGLP-1の分泌も増えるので一石二鳥です。

 また、自分で料理する人は、食材をあえて大きめに切るだけでも違います。必然的に咀嚼(そしゃく)回数が増えて満腹感が得られます。ポテトサラダのような柔らかい副菜には、ナッツやちりめんじゃこのような“カリカリ食材”を散らすのも手です。食感の違うものが少し加わるだけで、じつはグンと咀嚼回数が増えるのです。

次ページ:「孤独」を放置しない

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。