「しんどい思いをせず、8キロ減」 血糖値のスペシャリストが教える「ゆる~い糖質制限」
数値よりも「心値」が大切
強いストレスがかかると、体はコルチゾールというホルモンを大量に分泌します。じつはこれ、肝臓に「糖を血中へ放出しろ」と号令をかける物質で、ストレスに対抗するためのいわば非常ボタン。そうして血液中に大量の糖が放出されると、当然、血糖値が上がります。つまり「糖尿病を治さねば」「血糖値を下げねば」という“ねばねばストレス”が、この非常ボタンを毎日押し続け、血糖値を上げてしまうカラクリになり得るのです。
だから、私はいつも患者さんにこうお伝えします。数値のよさより、まずは“心値(ここち)のよさ”が大切ですよ、と。心のざわつきが静まれば、血糖値も静まっていくものです。
「そんな精神論で、本当に血糖値が下がるはずがない」――そう思われる方もいるでしょう。もちろん私も「ゆる~い糖質制限」は必要だという立場です。ただ、手前みそで恐縮ですが、私のクリニックでは開院からのべ10万人を超える患者さんに通っていただきながら、糖尿病治療における改善率は大阪、いえ関西でトップクラスをキープ。全国の病院の平均値と比べても、わりと立派な数字だと自負しています。ではなぜ「ゆる~い糖質制限」でそれほどの結果が出るのかといえば、“糖質を0グラムに減らす”よりも、“ストレス時間を0秒に減らそう”と真剣に考えている点に尽きます。
8キロ減のシンプルな食べ方
例えば、70代のマリコさん(仮名)のケース。糖質制限を始めた当初は数値がすいすい下がって、血糖値を示すHbA1cは8%台後半から7%台前半へと下がっていました。ですが、長年の食習慣をそう簡単には変えられません。マリコさんの我慢の糸はある日ぷつんと切れ、ごはんや麺類、お菓子までもむさぼり食ってしまいました。ドカ食いの結果、HbA1cはあっという間に8%台へ逆戻り。
お話をよく聞くと、炭水化物を中心とした「食事の量」を減らして糖質制限していたそうで、空腹が極度のストレスを与えていたのでした。そこで私のクリニックでは「1回の食事で、葉物野菜や、卵か魚か肉を、たくさん食べてください」と提案。要するに糖質以外で、お腹をいっぱいにする作戦です。
じつはこれ、私自身が試して大成功したダイエット法でもありました。やり方はシンプルで、レタス、キャベツ、ブロッコリーなどを山盛りにしたサラダボウルを食事のときに用意するだけ。ポイントは“ドレッシングで味変(あじへん)”を楽しむこと。「カロリーの高いドレッシングは駄目」と世間では言いますが、たっぷりの野菜でお腹を満たすメリットの前では、そんなことは気にしなくても大丈夫です。私の冷蔵庫には常時10種類超のドレッシングが並び、「今日はどれかな」「二つ混ぜようか」と、まるで実験。しんどい思いもなく、約1年で、体重が8キロ減した経験があったのです。
マリコさんも「お腹いっぱいになるから、自然とお米を食べる量が減りました。前みたいに我慢もしていないし、ほんまにストレス0秒ですねえ!」と笑顔で実践してくれて、HbA1cは7%前後で安定しています。「糖質は禁止」とネガティブに捉えるのではなく、「野菜と肉をたくさん食べよう!」とポジティブに頭を切り替える。それも大切な糖尿病対策なのです。
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