プーチン大統領を震撼させた「北極圏のガス施設」“空爆”…進化するウクライナのドローン攻撃に「厳冬期は停戦状態」というロシア軍の常識が崩壊か
厳冬期は戦闘が不可能になる理由
ガス・コンデンセートとは天然ガスの採掘によって得られる液体状の炭化水素。これを処理するとプラスチックなど石油化学製品の原料となる。つまりウクライナはロシアの「石油化学サプライチェーン」の破壊にも成功したわけだ。
軍事ジャーナリストは「ウクライナが北極圏のドローン攻撃に成功したことで、戦局が変わる可能性があります」と言う。
なぜかと言えば、これまでのウクライナ戦争は厳冬期になると実質的な停戦状態となっていたからだ。最大の理由は気温。ウクライナ軍とロシア軍が激戦を繰り広げ、互いに一進一退を続けているドネツク州やルハンスク州の最前線は1月が最も寒くなり、平均最高気温がマイナス1・5度、平均最低気温はマイナス7度に達する。
「陸軍の地上部隊にとって、氷点下の気温は兵士の生死に直結します。気温マイナス1度でも凍傷や低体温症で死者が出る可能性があるからです。さらに風速が1メートル強くなれば、体感気温は1度下がります。1939年、ソ連がフィンランドに侵攻した『冬戦争』では、常に気温が氷点下という厳しい状況で、ソ連軍兵士の多くが凍傷で命を落としました。現代の防寒具は非常に優れているとはいえ、汗をかくと低体温症のリスクが上昇します。最前線の部隊にとって、冬は戦争どころではないというのが本音なのです」(同・軍事ジャーナリスト)
冬でもロシアを攻撃できるメリット
来年の1月も東部戦線の最前線では同じことが起きるだろう。だが、中・長距離ドローンは気温の影響を受けない。ウクライナとロシアの戦争は今年2月で丸4年を迎えたが、遂にウクライナ軍は厳冬期でもロシアを攻撃できる兵器を初めて手に入れたと言える。
「ウクライナはガソリンスタンド、石油精製関連施設、物流倉庫、そして今回のガス関連施設と、ロシアのライフラインを狙い撃ちしてきました。さらに攻撃時には民間人の死者が出ないよう細心の注意を払っています。戦果の確認も正確で早く、同じ施設を何度も攻撃するなど見事な作戦です。これはNATO(北大西洋条約機構)の加盟国などが運用している偵察衛星の情報がウクライナに提供されているからでしょう。ロシア軍に侵攻された2022年、ウクライナのドローン生産能力は年間6000機でした。それが今では年間500万機です。冬になってもロシア国内のドローン空爆を続ければ、相当ダメージを与えることができるはずです」
一方、ロシアがドローンをフル活用しても戦争に勝つことは「絶対に不可能」だという。
後編【ウクライナ「超・長距離ドローン」がプーチン大統領を苦しめる理由…広大な国土というロシアの防空メリットがむしろ“国防の障害”に】では、戦争における勝利条件がウクライナとロシアでは異なることや、戦時体制がロシアの軍需産業を苦しめ、兵器の質が著しく劣化しているという衝撃の事実について詳しくお伝えする──。
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