「AI減速論者」の登場で、大暴騰した「キオクシア」どうなる

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 年末にはまだ早いが、2026年の株式市場を大いに盛り上げてくれた会社といえば、キオクシアホールディングス(キオクシア)で決まりだろう。何しろ大型株であるにもかかわらず、年初の1万1000円台から大爆騰し、6月には一時11万円をつけたのだ(いずれも株式分割前の株価)。証券界では株価が10倍になることを“テンバガー”と呼ぶが、わずか半年でこれを達成したわけだ。キオクシア株を握っていたおかげで“億り人”になった人もいれば「あのとき買っておけば良かった」と悔しがっている人も多いはず。そこで、この株が今後どうなるのか予測してみる。

暴騰した後に暴落

 ご存じのようにキオクシアが上昇した背景には、AIブームがある。オープンAIやアンソロピックなどのAI企業が、巨額の資金をつぎ込んでデータセンターの確保・増設に走った結果、そこで使われるメモリーチップの需給がひっ迫。一個当たり3万円程度のものが6~10倍以上に値上がりする事態となった。この追い風をもろに受けたのがメモリーチップメーカーで、韓国ではサムスンやSKハイニックス、アメリカではマイクロンなどが空前の利益を上げ、日本ではキオクシアがその恩恵を受けたというわけである。

 ところが、あまりの株高で投資家が“高所恐怖症”になったのだろうか。10倍になったところで、売りが続発し、7月に入るとキオクシアは逆に暴落。ピークの半分にまで下がってしまう。株主にしてみれば、ジェットコースターに乗っている気分だったに違いない。以来、キオクシアの株価は少し上がってはまた下がる。そしてまた少し上がるという“ヨコヨコ”の状態が続いている。なお、同社は9月30日を効力発生日として1株を3株に分割している。このため29日の取引から株価は見かけ上、従来の3分の1程度となっている。AIの開発競争はこれからが佳境に入るところだから、キオクシアも、年末にかけて、あるいは来年も、もう一度大相場を演じてくれるかも知れない。

AIの開発ペースを遅らせるべき

 少し心配な情報もある。9月中旬になって、アンソロピックのダリオ・アモデイ氏が「We Must Pace the Frontier(最先端の開発ペースを調整すべきだ)」と題したエッセイを発表しており、オープンAIのサム・アルトマンCEOとテスラのイーロン・マスク氏もこれに同調したのだ。つまり、AIの開発スピードがあまりに早すぎるから、皆でペースを落とすべきだと経営者らが言い出したのである。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏も、AIによる大量失業を警戒して“人間のために仕事を残しておくべきだ”と警告を発している。

 こうした発言の背景には、人間がAIをコントロールできなくなってしまうのではという「畏れ」があるとも言われている。最近「AGI」や「ASI」という言葉を耳にされた向きもあるかも知れない。AGIとは汎用人工知能のことで、人間ができる知的作業をすべてこなせるAIのこと。またASIとは、「人工超知能」のことで、汎用人工知能をさらに超えた存在のことだ。アモデイ氏らの発言は、AGIが足元までやってきており、ASIも数年以内に実現してしまう。そうなると、人類を攻撃するなど予想外の事態を招いてしまうのではないかという危機感の表れとも言われている。

 が、そういう懸念はさておいて、AIの開発スピードが落ちれば、メモリーチップの需要もこれから落ちていくのではないかとの懸念もある。つまりキオクシアの株価も下がってゆくという見方だ。そこで、マーケットアナリストの田口れん太氏に聞いてみると、「AIの開発競争が遅くなることはないでしょう」。どういうことなのだろうか。

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