“にわかファン”まで熱狂させた「ラグビーW杯」の夢よ、もう一度…「2035年大会」招致活動でラグビー人気再燃なるか

  • ブックマーク

コロナ禍が消した熱波

 この勢いなら、野球も、サッカーもしのぐ国民的人気スポーツになるのではないか。ラグビー関係者はもとより、古くからのラグビーファンも、少し複雑な思いを抱えながらも淡い期待を抑えられなかったに違いない。

 ところが、コロナ禍が、木っ端みじんに、その熱波を雲散霧消させてしまった。トップリーグは中断され、それから長い自粛の期間が続く。1年以上が経って、新しいシーズンが始まった時、もはやあの華やかな空気は失われていた。観客数も千人単位となり、千人に満たない試合さえもあった。あの熱と勢いはコロナ禍で消滅したのだ。

 それから5年以上が過ぎた今、まるでW杯2019の感動などなかったかのように、ラグビーをめぐる状況は静かだ。

 トップリーグは「ジャパンラグビー リーグone(ワン)」と名前を変え、プロとしての組織充実を図るなど、関係者は改革の努力を続けている。

 そんな中での「2035年W杯招致」の報道。あの夢の再来に思いがふくらむ一方、9年も先か、とのため息も漏れる。いまやれること、いまやるべきことは当然あるはずだ。

 2035年が決まるにしても、その時の日本代表には期待できるのか?

 リーグワンは来季からの選手登録制度の見直しを発表した。海外出身選手の出場枠を狭め、日本出身者の出場機会を増やすことにより、日本人選手のレベルアップを期待する方針と言われる。2019年のラグビーワールドカップでは、海外出身選手を日本代表に積極的に採用し、彼らとのワンチームで快挙を成し遂げたにもかかわらずだ。

 ある意味、スポーツ界に新たなムーブメントを巻き起こしたラグビー界が、他の競技と同様の方向性に後戻りする判断。外国出身選手に依存しない決意の表れとも理解できるが、かつてのにわかファンたちはどう考えるだろう。

 2035年大会の日本招致も含め、相変わらず一般ファンの声が届かない奥の院ですべてが決められるスポーツ界の体質には疑問を感じるばかりだ。

スポーツライター・小林信也

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。