“にわかファン”まで熱狂させた「ラグビーW杯」の夢よ、もう一度…「2035年大会」招致活動でラグビー人気再燃なるか
完成度の高いスポーツ
開始6分、フィン・ラッセルのトライとグレイグ・レイドローのコンバージョンキックでスコットランドの7点先制を許す。だが、それで意気消沈する日本代表ではなかった。17分に松島幸太朗、25分に稲垣啓太、39分に福岡堅樹がトライを奪い、キックもすべて田村優が決め21対7。リードを奪って前半戦を終えた。
後半も福岡のトライと田村のキックで加点。2トライを返されたものの、28対21で逃げ切り、決勝トーナメントへの1位通過を決めた。
この時の興奮状態、お祭りムードは他の方法で作り出そうとしてもできるものではない。それこそが、スポーツこそが生み出せる国民的高揚感そのものだった。
私は、20代の頃からラグビーとの縁が生まれ、かつてプリンスと呼ばれた本城和彦選手(早大出)が所属するサントリーラグビー部に長く取材を重ねた。その関連から、ゲームの影の演出家とも呼ばれるレフリーたちと親しく交流するなど、他の競技とは異なるラグビーの魅力を体感していた。野球出身の私とすれば悔しい思いもあったが、人間が秘める心身の機能や可能性を最大限に引き出せる、持ち味の違う15人が見事に個性を発揮し、これを統合してチームという結晶になる。その競技性の完成度の高さに感服していた。
肉体と肉体が激しくぶつかり合う。一見、野蛮なようでいて、整然とした規律に貫かれ、勝負が終わった時には、きれいごとでなく、大半のラガーマンたちが清々しい思いに包まれる。これもまた人間社会に必須の闘争的な調和だと感じ入った。
だから、ずっとマイナー扱いされていたラグビーが2019年W杯によって熱く認知され、いよいよ日本のナンバーワン人気スポーツになる時代が到来した、と感じたときには、これで世の中が少し良くなるのではないか、とさえ期待した。
日本代表は決勝トーナメント準々決勝の対南アフリカ戦で苦杯をなめた。3対26。ワンチームの快進撃はそれで終わった。だが、日本列島に巻き起こったラグビーの熱気は次の行き場を求めていた。年が明けて2020年1月。トップリーグの会場にあふれ返るほどのにわかファンが押し寄せた。
開幕戦当日、秩父宮(東芝対サントリー)には2万1564人、神戸製鋼対キヤノン戦には2万3004人が集まった。翌週の豊田スタジアム(トヨタ自動車対パナソニック)には3万7050人、翌々週の神戸製鋼対サントリー戦には2万6312人。W杯前には見られなかった熱狂がスタジアムで再現された。にわかファンたちは、自分の推しがプレーするトップリーグの各チームの試合に足を運ぶようになったのだ。
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