日本人と同じく塩分を取り過ぎの「チベット族」は短命 寿命を延ばす「新型和食」とは?
「伝統的日本食」との対比
従来の和食に「乳製品を足し、塩分を引く」というアレンジを加えた“新型和食”。これに関連した興味深い報告が存在する。
2025年に国立がん研究センターが発表した「新しい日本食パターンと死亡リスクとの関連について」と題されたもので、対象は45~74歳の男女約9万人、追跡期間は最長で約18.9年間という大規模な調査だ。同調査では、次のように食事パターンを四つに分類している。
(1)「伝統的日本食」
ごはん・みそ汁・大豆・漬物・野菜・果物・きのこ・海藻・魚介・緑茶・調味の塩などを取り、豚・牛肉は控えめ。
(2)「減塩型伝統的日本食」
「伝統的日本食」を基本にして塩辛い魚介類などは控えめ。
(3)「新日本食」
(1)に乳製品とコーヒーを加えたもの。
(4)「減塩型新日本食」
(2)に乳製品とコーヒーを加えたもの。
各食品の摂取量が対象者の中央値より多いと加点、塩分の多い漬物や調味料の摂取量が少ない場合も加点するなどしてスコアを比較した。
調査を担当した、国立がん研究センターがん対策研究所の澤田典絵コホート研究部長が、まずは「新日本食」と「減塩型新日本食」に乳製品とコーヒーを加えた理由について説明する。
「第一に、どちらも日本人の摂取量が増えていること。第二に、国立がん研究センターでのこれまでの研究成果として、男性では乳製品を摂取している人の方が、死因を問わない全死亡や循環器疾患死亡のリスクが低く、コーヒーについては、男女共1日に3~4杯程度まで摂取量が増えるにつれて、死亡リスクが低くなるという結果が出ていたからです」
澤田氏が調査結果について続ける。
「『伝統的日本食』でも『新日本食』でも、スコアが高いほど、全死亡リスクと循環器疾患死亡リスクの低下が見られました。つまり、日本食の傾向が強い食事をしている人ほど、基本的に死亡リスクが低いといえます。また、特に男性では『伝統的日本食』と比べて、『減塩型新日本食』の方が、より死亡リスクが低下しました。この研究では、日本食を取ることのメリットだけでなく、減塩することの重要性が改めて示されたと考えています」
94歳の今も元気に働ける理由
最後に、卒寿を超えて現役の栄養学者である日本栄養大学の香川靖雄副学長が、
「多くの人は食材を買う時、おいしさを最優先にし、次に賞味期限、値段、ボリュームを重視します。栄養は、優先順位で7番目くらい。もう少し栄養について深く考えてほしいですね」
と、現代日本人に警鐘を鳴らした上で、自身の「健康の源」についてこう語る。
「伝統的な和食の摂取頻度が高い人ほど、要介護率が有意に低いというデータもあります。私自身、毎日牛乳を飲むなどして、『和食+洋食の良いところ』を心がけてきました。おかげさまで、94歳のいまも元気にキャンパスで仕事をできています」
減塩を意識し、ヨーグルトなどの乳製品を一品加える――。新型和食こそ、人生100年時代の強い味方になるに違いない。







