【ブラッサム】宇野千代最大の自慢はドラマに頻出する「錦帯橋」…ドラマを100倍楽しむための“岩国のうんちく”
岩国の象徴として頻繁に登場する錦帯橋とは
9月28日に放送が開始されたNHK連続テレビ小説『ブラッサム』。石橋静河が演じる葉野珠のモデルは、作家であると同時に、編集者や着物デザイナーなどとしても活躍をした宇野千代(1897-1996)である。
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宇野が生まれたのは山口県岩国市で、初回の放送から、彼女の晩年を演じる加賀まりこや、幼少期を演じる村上蘭とともに、岩国の景色が登場している。とくに錦川に架けられた、5つの木造橋が連なり、中央の3連が大きなアーチを描く錦帯橋が、宇野が幼少期をすごした故郷の象徴として、頻繁に映し出されている。番組のタイトルそのままに、咲き誇る桜を背景にした錦帯橋はとりわけ美しいが、幅約5メートル、全長193.3メートルのこの橋には、どんな由緒があるのだろうか。岩国とはどんな特色がある町だったのだろうか。
『ブラッサム』を視聴して、葉野珠というヒロインを知り、ひいては宇野千代を理解するためには、岩国や錦帯橋について知っておくに越したことはない。
「流されない橋」を目指した領主の知恵
岩国は江戸時代を通じて城下町だったが、幕末まで正式な藩としては認められていなかった。この事情は少し複雑なので追って説明するとして、ともかく城下町であった。錦帯橋が映し出されるとき背後に山が見えるが、岩国の城下町は、この「横山」の麓の、領主の居館や政庁、上級武士の屋敷などが建ち並ぶ「横山地区」と、錦川を挟んで東側の中下級武士や町人が暮らす「錦見地区」に分かれていた。横山の麓だけでは広さにかぎりがあったので、対岸も含めて城下町を整備する必要があったのだ。
このため「横山地区」と「錦見地区」を結ぶ橋が、川幅約200メートルの錦川に架けられたが、洪水のたびに流出してしまった。そこで三代目の領主の吉川広嘉は、さまざまな橋の構造について研究と考察を重ね、川に橋脚を立てない刎橋(はねばし)なら、水量が増えても流されないと考えるに至った。だが、調査をしてみると、全国にあった刎橋は幅が狭い川に架けられたものばかりで、それを川幅が200メートルもある錦川にかけるのは現実的ではなかった。
そんな折に、中国杭州の著名な景勝地、西湖を描いた絵に小島から小島へと6つの橋が架けられている絵を見て、広嘉はひらめいたという。錦川の流れのなかに洪水でも流されない高い強度の橋脚を石造りで築き、その上に複数の刎橋を架ければ、もう橋が流出することはなくなるのではないかと。そこで、戦国時代から江戸初期にかけて発達した城郭の石垣構築技術を応用して、錦川に4つの石造の橋脚を築き、中央に大きなアーチを描く刎橋を3つ架け、両側に木組みの橋脚で支える一般的な桁橋を架けることになった。こうして延宝元年(1673)、合わせて5つの橋で200メートルの川幅をカバーする錦帯橋が完成した。
もっとも、翌年の洪水で橋は早速、流出してしまったのだが、橋脚が築かれた川底の敷石を補強するなどの改良を加えた結果、その後は、昭和25年(1950)の台風で流出するまで持ちこたえ、岩国の繁栄を支える礎となった。また、5連のアーチによる特別な景観は、江戸時代から全国に知れ渡り、諸国から見物客が訪れたという。
木造部分は経年劣化が激しいので、安全性を担保するために、江戸時代から繰り返し架け替えが行われた。両側の桁橋は約35年に一度、中央の刎橋は約20年に一度というのが目安で、現在も橋の状況を見ながら更新を重ね、それによって大工の技術も継承している。
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