ご葬儀“大幅縮小”の背景にあった「上皇さま」の深謀遠慮…「上皇となられたことで法律上の“しばり”が無くなり、葬儀縮小の道が開けた」との声も

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「皇室喪儀令」のしばり

 羽毛田氏は2012年4月、定例の長官会見で「天皇皇后両陛下(現上皇上皇后両陛下)のご意向を踏まえ、将来の埋葬方法をこれまでの土葬から火葬に変更する方向で検討する」と発表した。理由として同氏は「国民生活への影響を少なくしたい」とする税負担の問題に加え「時代の変化に合わせ、多くの国民と同様に火葬がふさわしい」ことを挙げている。火葬は結局、翌13年の11月に決定した。

 この決定で、江戸時代の1617年に後陽成天皇が火葬されて以来、400年ぶりに天皇の埋葬方法が高コストな土葬から火葬へと転換されることが決まったのだ。同時に天皇陵と皇后陵を合わせた敷地面積を、隣接する昭和天皇陵(武蔵野陵)と香淳皇后陵(武蔵野東陵)を合わせた面積の8割程度に縮小することも決まった。しかも周囲を含めた区画の総面積はほぼ半分。これも、東京都八王子市に用意されている武蔵陵墓地の敷地面積が不足していることに加え、国民生活への影響が理由となっている。

 そして2016年に生前退位の意向が表面化し、3年後に上皇となられた。現在、天皇の葬儀は「皇室典範」第25条に「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う」とのみ規定されている。このため基準にしているのは1909(明治42)年に公布された「皇室服喪令」(戦後廃止)の第13条にある「天皇、太皇太后、皇太后、皇后ノ喪ヲ大喪トス」と、1926(大正15)年に公布された「皇室喪儀令」(同廃止)となっている。

「皇室喪儀令には、葬場殿を新設するよう明記はされていませんが、式次第の流れから広大な土地に巨大な会場を特設することが前提になっています。この前提が葬儀縮小のネックでしたが、天皇ではなく想定のなかった上皇になることで、天皇の大喪の厳格なしばりは無くなったわけです」(同元幹部)

 国民の経済的負担を可能なかぎり回避し、つつましい皇室を実現するため、まず火葬と陵縮小を既成事実化し、その後に退位。上皇の立場で葬儀費用の大幅削減を実現するという15年来の計画のようなものを上皇陛下はお持ちだったということか。

 前出の宮内庁関係者は、こう語った。

「上皇陛下は歴代で昭和天皇に次ぐ齢(よわい)に達した頃から、ご自身の健康や老いを踏まえ、天皇としての終活で着実に一つ一つ変革を加えてこられた。一連の旧習打破の背景には、陛下のこうした深謀遠慮があったのです」

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。紙媒体やWEBでロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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