特捜OB「山下貴司法相」再登板は政界捜査のアクセルか、ブレーキか? 永田町の関心が集まる“次期検事総長の最右翼”との関係
国会議員3人逮捕は離任後
実は山下氏の1回目の法相時代、同期の森本氏は特捜部長の地位にあった。IR汚職と参院選広島選挙区買収事件で、計3人の国会議員を逮捕した森本特捜部だったが、山下氏の在任中は逮捕していない。山下氏の法相離任は2019年9月。IR汚職で特捜部が衆院議員元秘書宅の家宅捜索に着手したのは、3か月後の12月だった。
「同期の大臣に気を遣ったということはないだろうが、衆院議員側の強制捜査となれば、直前には法相に報告は上がる。離任の時期が無関係だったとは、決して言い切れないだろう」(同弁護士)
筆者が「デイリー新潮」昨年7月2日にアップした「検察首脳人事に地殻変動?」と、8月4日の「検察不祥事が相次ぐ中“初の慶応出身”検事総長が誕生」でも書いたように、過去には大半が東大出身で占められてきた検事総長の椅子に2024年7月、初の女性総長として中央大出身の畝本直美氏が就任。今年8月には「慶応ボーイ」では初となる川原隆司氏が総長ポストに就いた。
「法務省刑事局長として畝本氏就任の背中を拝み、次官として川原氏の就任を見届けた森本君としては、初の名古屋大学出身の総長となる自分の姿が既にイメージできているはず。特捜検事としての森本君は若手の特捜検事たちにとって、ある意味で“神格化”さえされている存在。森本君にその気がなくても、森本総長誕生の障壁になるような捜査に着手して、政権与党自民党の不興を買うことがあってはならないとの忖度が働く可能性はある、という懸念がある」(同弁護士)
森本氏が岐阜県の同郷で高校の先輩でもある、故熊崎勝彦・元東京地検特捜部長に可愛がられていたエピソードは有名だが、やはり同じ岐阜県出身の伊藤鉄男元特捜部長が昨年10月に出版した著書『検事の心得 元東京地検特捜部長の回想』(中央公論新社)の中でも、司法修習時代の森本氏を「いつも大声で元気がよく、何ごとにも目を輝かす好青年」と論評。「私とは比べものにならないほどの実績を残し(中略)やがては検察のトップになるだろう」と書かれている。
「森本君は若い頃からある意味、おやじ殺しで知られた。検事総長就任が確実視されていることをあまり快く思っていないのは、ごく一部の東大出身の検察OBだけだ」(同)
再登板となった山下法相の手腕が生かされるのは、政策の責任者としてか、はたまた捜査に関わる立場でか。注目したい。
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