特捜OB「山下貴司法相」再登板は政界捜査のアクセルか、ブレーキか? 永田町の関心が集まる“次期検事総長の最右翼”との関係
かつては捜査現場の牽制役
一方で、外国人労働者が一気に急増したことにより、政府与党の外国人政策は一変する。治安悪化の懸念や、社会保障費の未納による不公平感が増大。政策の方向が「共生」から「規制」へと180度転換し、昨秋、高市氏が党の総裁に就任すると、すかさず外国人受け入れの規制強化を議論する党のプロジェクトチーム(PT)の座長に山下氏を起用した。そして今回、入管行政のトップである法相として、エキスパートの山下氏を登用したわけだ。
「インバウンドも含めて、外国人を十把一絡げに『移民』などと呼んで入国の制限を主張する参政党の躍進ぶりをみれば、高市首相が外国人施策に神経を尖らせているのは事実でしょう。山下さんの起用と最側近の小野田紀美内閣府特命担当相の留任は、政策推進の両輪なのです」(前出の元秘書)
ただ、前出の弁護士は「もちろん起用の最大の理由は、入管行政のスペシャリストだから。だが、自民党政権トップの脳裏の片隅には、天敵である特捜部に重しは必要との思いはあるはず」と指摘する。
もはや日本史の教科書に載るレベルの昔話ではあるが、故田中角栄元首相が特捜部に逮捕されたのが1976年。逮捕後も田中氏は「キングメーカー」として首相の人選を差配し、政界に君臨し続けたことから、ロッキード事件の捜査終結後、特捜部による国会議員の刑事訴追は1986年の撚糸工連事件の在宅起訴まで10年間なく「85年に田中氏が脳梗塞で倒れるまで、法相ポストは田中派や『隠れ田中派』とされた政治家でバトンがつながれ、捜査現場を牽制していた」(同弁護士)ため、この10年は「特捜冬の時代」と呼ばれた。
「だから今回、山下さんを起用した高市さんの念頭にも、特捜の捜査への重しという考えは、ある程度あるはずだ」(同弁護士)
検察関係者もこう推測する。
「高市首相は今年7月に開かれた『安倍晋三元総理の志を継承する集い』で『安倍氏のように闘う政治家でありたい』とあいさつし、長く政治活動を共にした理由として政治家としての魅力や国家観が同じであったことなどを表明している。黒川検事長を政権の守護神として総長に置こうとした思考と似たマインドをもっている可能性もある。場合によっては、特捜部ににらみを利かせるための起用という側面もなくはない」
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