所属モデル全員が整形、卒アルまで修正…Netflix1位「ダウンタイム」が描く美容整形外科業界の“裏側”
整形への注目度
声優学校に通う田中善子(天野はな)は才能豊かだ。しかし、容姿には恵まれていない。声優も外観が良いほうが有利らしく、世に出るチャンスを得られない。
善子はルッキズムを恨みながらも、声優になる夢をかなえるため、整形を決意する。自らもルッキズムを受け入れる。費用は援助交際で捻出した。
この物語は、ルッキズムを巡る対立を描いているわけではない。また、美容整形の善悪を裁いているわけでもない。多様な価値観が認められるようになった時代にあって、整形をする、しないも個人の自由だと静かに説いている。整形に対する価値観の変遷を浮き彫りにしている。
文も整形嫌いをあらためる。自死した佳奈が、高校時代までは暗い性格だったものの、整形後は前向きで明るくなったことなどを知ったからだ。
現実の医師たちの世界も大きく変わっている。近年は「直美」(通常2年間の初期研修終了後、直ちに美容整形外科へ進む医師)が増えている。その理由は圧倒的な高収入が約束されていることなどだ。
初期研修を終えて間もない勤務医の一般的な年収は500万~800万円程度とされている。一方、同じ若手勤務医でも、直美の場合は年収1500万円以上。チェーン展開する美容整形外科医院の中には、「2000万円保証」などと謳い、若手医師を募集しているところもある。
直美の人気が高まる理由は、収入面ばかりではない。かなり上の世代の医師たちは美容整形外科医を傍流扱いしていたが、今では見方が変わっている。美容整形外科医は佳奈のような患者が前向きに生きられるよう支えたり、コンプレックスを軽減したりできるため、その存在が大きく見直されている。
慶應大学病院は2024年5月、美容医療外来を開設した。これは、美容整形外科への評価の高まりを象徴している。神戸大学病院などにも形成外科・美容外科がある。同大病院はフェイスリフトや二重まぶた形成、脂肪吸引など、幅広い美容外科手術を行っている。
美容整形は以前よりはるかに身近になり、業界への世間の関心も高まっている。時事性の強いドラマでもあった。これもヒットの一因にほかならない。
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