大阪万博の“負の遺産”…「EVバス」独占受注のスタートアップ企業が“経営破綻” 新たなスポンサーのもとで“再出発”できるか

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相次いだ不具合

 大阪・関西万博の閉幕から、まもなく一年。しかし、その「負の遺産」はいまだ燻り続けている。“クリーンでスマートな交通システム”をウリに掲げた大阪・関西万博ではEVバスの導入が決まった。その契約を一社で独占したのは、創立からわずか6年の「EVモーターズ・ジャパン」(本社・北九州市。以下、EVMJ)なるスタートアップ企業。ところが、このEVバスに注目が集まったのは、相次ぐ不具合によってだった。

 そもそも、EVMJは「初の国産EVバス」を前面に打ち出す戦略で、大阪・関西万博での受注に成功した。しかし、その実、委託先の中国メーカーが製造した車両を輸入し、販売していた。ゆえに、看板に偽りありという批判が絶えなかったのだ。

 大阪・関西万博の期間中、EVバスはブレーキホースの損傷や漏水など運行に直接支障を来すようなトラブルが頻発。さらに、走行中の突然停止や停車後に勝手に動き出す事故まで起こす有り様だった。
 
このEVバスは、「大阪メトロ」(本社・大阪市)が総額およそ90億円で190台を購入。うち150台を万博で走らせ、閉幕後も路線バスなどで活用する予定だった。その購入にあたっては、大阪メトロに国や大阪府、大阪市から40億円以上の補助金が投じられた。

 さらに、EVMJは万博一社独占の実績から、他の地方自治体や事業者などからの受注にも漕ぎつけている。

「EVバスの墓場」

 大阪メトロ関係者によれば、

「EVMJは昨年11月、ブレーキホースの欠陥を理由にリコールを発表しました。大阪メトロは対象車両を修理するため、北九州市のEVMJ本社にフェリーで搬送しようとした。ところが、同社の受け入れ態勢が整わず、EVバスは大阪・泉大津市にあるフェリー乗り場近くの駐車場にしばらく野晒し状態でした。その後、リコール対象車両以外のEVバスも合わせ、100台以上が大阪・森之宮にある大阪メトロの所有地に移されました。ナンバープレートを外したEVバスが整然と並べられている様子から、そこは“EVバスの墓場”と揶揄されるようになったのです」

 結局、大阪メトロは今年の3月31日、EVMJから購入した190台全車両の使用中止を発表。それに伴い、翌4月1日、EVMJに対し、車両購入代金や違約金などを合わせ、約96億円の支払いを求める契約解除を通知した。しかし、EVMJは「契約の解除は認められない」と回答し、大阪メトロとの対決姿勢を露わにしたのだ。

 その2週間後の4月14日、EVMJは民事再生手続きの申立てに踏み切った。事実上の経営破綻である。不具合続発による信用失墜で、急速に資金繰りが悪化したからだ。負債総額は約57億円にのぼった。

 一方、EVMJの民事再生手続きの申立て後、万博関連のEVバス150台は5月から6月にかけて、「墓場」から富山県にある解体・リサイクル工場に運び出された。大阪市内でオンデマンドバスとして使用した残り40台は別の場所で保管されることになった。

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