会社に勤める「大人のADHD患者」を悩ませる“6文字”の最も苦手な作業とは? 大変なのは新入社員時代だけではない…年次を重ねて直面する“3つのハードル”

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“失われた30年”と発達障害

 企業にとって、人件費が会社の経営を圧迫するような時代ではなかった。社内には余裕があり、サポートする事務担当の社員も多かったこともあり、“型破りの一匹狼”でも会社の戦力として重宝された。

 ところが2000年代から“失われた30年”が始まり、企業はリストラに奔走するようになる。

 企業は「営業成績は抜群だが、書類の一つも満足に提出できない」規格外の社員と、「営業成績はそこそこでも、事務処理能力は完璧」という優等生タイプの社員と、どちらを残すかという問題に直面した。

 そして後者を残したわけだが、前者の社員にADHDの特性を持つ人が多いのは言うまでもない。

 かつての管理職は「部下の管理」に専念することができた。だが今は「プレーイングマネージャー」が基本だ。ADHDの人が管理職になるとストレスを強く感じるのは、先に触れた“マルチタスクが苦手”という特性から明らかだろう。

「発達障害とは総称ですから、本来はADSなども含みます。ただし有病率を考えると、成人においては、発達障害=ADHDと考えても支障はありません。そして本来、ADHDは子供に特有の精神的疾患として捉えられてきました。教室の中で多動や衝動を抑えられない子供たちにどう対処するかという問題だったからです。ところが日本では、多動衝動性は見られず不注意症状が中心の『子供のADHD』は実質的に放置され、『大人のADHD』だけが話題になっているという状況です。これは大きな問題だと考えます」(同・岩波教授)

「子供の発達障害」を放置する文科省

「子供のADHD」を放置することが大問題なのは、不登校、いじめ、自殺の原因になっていることからも明らだ。

「さらに子供の時期に発達障害の有無を把握すれば、余裕をもって治療できる時間を確保できます。大人の発達障害が減ることも期待できますが、文部科学省は十分な対策を講じていません。実のところ文科省は事態を正確に把握していると思います。教育現場の問題点をまとめた報告書などには『発達障害』の言葉が登場するからです。有病率から逆算すると、子供の有病率は成人より高いため、1クラスにはADHDの子供が数人いる計算になります。小・中学校の健康診断に発達障害の項目も付け加え、専門の精神科医が生徒全員を問診すれば状況が改善されるのは間違いありません。ところが文科省の対応は遅れています。学校の教師に、これ以上の負担をかけることができないのは確かでしょう。だったら別の方法も検討すべきと考えます。実は大人の場合でも同じです。発達障害を診察できる医師やクリニックは首都圏を筆頭に大都市圏に集中しています。地方都市では県立病院や大学病院でさえ診療経験のある精神科医が不足しています。そのため見過ごしや誤診の問題が起きています」(同・岩波教授)

 ADHDは効果が期待できる薬が複数あるが、精神科医が統合失調症やうつ病と診断してしまうと、全く異なる薬が処方されてしまう。ASDには有効な薬はないが、正しく診断して適切な生活指導やグループワークに導入することが重要だ。

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