民泊は嫌だけど、賃貸に出すならリフォーム代がかさむ…親が遺した「戸建ての実家」をどうするか問題 意外な救いの手は“二拠点生活”を望む人たち

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「親しい人に貸す」という古くて新しい選択肢

 そんな折、「ここに住みたい」と手を挙げた人がいた。それはAさんの弟夫妻だった。2人は現在、地方在住のフリーランス。なのでAさんとしてもこの申し出は意外だった。

 実は、弟夫妻は仕事の関係で東京出張の機会が急に増えたという。東京のホテル料金はコロナの頃は1泊3000円台もあったが、現在は最低でも1万円はする。繁忙期は2万円だ。そのため、マンションを借りた方が安いのでは、と考えたのだという。

 だがその場合、敷金・礼金・不動産手数料が初期費用としてかかるほか、必要最低限の家具と家電は必要となる。全部合わせれば150万円はかかるだろう。これがネックだったのだが、姉(Aさん)が夫の実家を身近な人に貸したいと考えた矢先に両者の思惑が一致した。

 現在両者の取り決めは「このエリアの相場よりも家賃は安い」「敷金礼金不要」「家具は使って構わない」「掃除を含めた維持管理をし、空き巣に入られぬよう人のいる気配を出す」となった。また、良い価格で売れそうな機会が来たら出ていくことも約束。夫が亡くなったらこの家は売ることにしていたものの、その前段階の有効活用として空き家時代、「仲がいい人に貸す」は選択肢として持っておいてもいいと彼女は今考えている。

 昨今移住ブームとされているが、なんだかんだいって、仕事は東京に溢れている。そのため東京へ来ざるを得ないため「完全移住」ではなく「二拠点生活」を選ぶ人もいる。今回の件はそんなニーズに応えたものである。

 ただし、親しき仲にも礼儀と常識的商慣行あり。賃貸借契約書は必須だし、設備の不具合発生時にはどう費用負担をするのか、退去時の「原状復帰」はどの程度まですべきか、などは必ず事前に決めておくべきであろう。また、火事や建物の破損などで大家に対して賠償しなくてはならないこともあるため、借りる側は「借家人賠償責任保険」には入っておいた方がいい。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

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