民泊は嫌だけど、賃貸に出すならリフォーム代がかさむ…親が遺した「戸建ての実家」をどうするか問題 意外な救いの手は“二拠点生活”を望む人たち
空き家の軒数が年々増え続けている。1993年には全国447.6万戸で、総家屋に占める割合は9.8%だった。しかし、2023年は900万2000戸(13.8%)となった。2038年には日本の家屋の3分の1が空き家になるとの試算もある。
「これ、全国の話でしょ? 不動産価値のある東京は関係ないでしょ?」と思われるかもしれないが、日本一空き家軒数が多いのは東京である。東京都住宅政策本部によると2023年の空き家率は10.9%と全国平均より低いものの、軒数は89.7万軒に上るのだ。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】
【写真】住みたい街ランキング常に上位でも空き家が…杉並区の風景
リフォームすると1000万円はかかることも
人口と世帯数が多いため当然ともいえるが、不動産価格の上昇がニュースとなる首都でもこんな実態が存在する。
数字を見ても明らかなように、都民にとっても空き家は身近な問題なのだが、いかんせんタワマン建設ラッシュやらエリアの再開発など、景気の良い話ばかりが注目され、空き家問題は見過ごされがち。そんな中、空き家問題を実際に抱えているのは、50代女性・Aさんである。
Aさんの夫の実家は杉並区の住宅街にあるが、10年ほど前に両親が相次いで亡くなり、家には誰も住まなくなった。夫の兄はすでにマンションを所有しており、Aさん一家も名古屋に自宅を持っていたからだ。さらに、夫の兄はマンションを賃貸に出し、家族でこの家に住むことも検討したが、その矢先に急死してしまった。
となると、Aさんの夫が東京出張をする時ぐらいにしかこの家は使わなくなった。それ以降、Aさんの息子2人が大学進学した際に使っていたが、長男は就職して職場に近いマンションを借り、次男は名古屋にUターン。またまた空き家になってしまった。賃貸に出せばいいじゃないですか? と聞いたところAさんはこう言った。
「築50年以上のこの家、何しろ広いし古いんですよ。冬は室内がなかなか温まらなくて寒い。義父母の残した家具や食器はまだ残っていますし、夫と兄の部屋は物であふれている。もしも誰かに貸す場合、これらはすべて処分しなくてはいけません。屋根瓦の補修や、壁紙の張替えも必要。室内は寒いので床暖房にしたり、キッチン、バス、トイレを最新のものにしたりする必要があるかもしれません。
そうなるとおいそれと賃貸に出すことはできないんですよ。私は名古屋在住なので、家の掃除のためだけに上京するわけにもいきません。固定資産税は年間10万円台とそこまで負担ではないのですが、他人様に貸すためのリフォームとなると1000万円はかかってしまうかもしれない。これが賃貸に出すことを躊躇していた理由です」
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