「パンダ返還後、中国からは何の接触もありません」 ゼロ・パンダでも観光客増加 和歌山「白浜町長」が語るこの1年 「役場に抗議電話が相次ぎましたが、今は…」

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 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」から目玉のジャイアントパンダ4頭が一斉に返還されて1年余り――。地元・白浜町では、観光客の大幅な減少が予想されたが、8月末に公表された県の昨年の「観光客動態調査」の数字を見ると、同町や、白浜温泉などの観光地を訪れた客の総数はむしろ一昨年の数を上回り、返還後の月もほぼ同数を維持していることがわかる。町の調査によれば、今年に入っても観光客数は依然好調のままという。その理由を分析した【前編】に続き、【後編】では、「ポスト・パンダ」の歩みを同町の大江康弘町長に聞いてみた。

【前後編の後編】

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潜在的な観光バリューが

 大江町長は述べる。

「数字は嘘をつきません。“パンダが帰ったら白浜がダメになる”と言われましたが、観光客動態調査が出て、そんなことはないということがはっきりとわかったと思います」

 なぜ大きな影響を受けなかったのか。

「もともと白浜には潜在的な観光バリューがありました。その上で昨年、パンダが返還されることがあれだけ報じられ、町が注目を浴びることに。それが功を奏したのかもしれません。テレビでパンダのことが取り上げられれば、“観光の危機”として当然、町の観光地も映像に流れる。見た方の中には、この機会に行ってみようかな、と思った方も少なくないのでは。露出度が高まったおかげで、町の観光価値も高まったと思います」

 町長自身も殺到する取材を断らなかったという。

「批判的に取り上げるものももちろんありましたが、そこは全部受け入れました。『白浜』の文字が活字になったり、映像で流れたりすれば良いと思って。おかげさまで私も白良浜に行くと、2人に1人から“町長ですか?”と聞かれるようになりました」

11~2月は閑散期?

 観光関係者の意識も変化していったという。

「アドベンチャーワールドも変わりました。これまでポスターや動画はパンダばかりが使われていましたが、今は例えばペンギンの赤ちゃんなど、他の動物に代わっています。あそこには120種類、1600頭の動物がいます。魅力的なものがたくさんいますからね。パンダショックに負けず、しっかりと努力をされていると思います」

 町も積極的にイベントを仕掛けているという。

「とりわけ白良浜を積極的に使っています。今年の8月には、浜をアパマンショップさんが貸し切り、音楽と花火のフェスを行い、10組のアーティストが出演、8000発の花火が上がりました。10月にもT-BOLANのメンバーやDEENが参加するロックフェスが行われますし、同じ月にはプロレス大会や台湾フェスタも開かれる。ビーチサッカーの全国大会も開催されます。これまで白良浜は、海水浴の時期にしか賑わってこなかった。しかし、これではもったいない。ご縁のあるところにお声がけし、海水浴シーズン以外にも、イベントを盛りだくさんにしてもらいました」

 もともと、南紀白浜温泉は日本書紀にも記されている由緒正しい温泉だ。有馬温泉、道後温泉と並び、日本三大古湯のひとつにも数えられている。しかし、1994年、アドベンチャーワールドに中国からパンダが貸与されて人気を呼んで以降、同町は「パンダのまち」のほうが通りが良くなっていた。

「しかし、そのパンダはいなくなってしまい、いつ戻ってくるか、あるいは戻ってくることがあるのか、まったく見通しが立たなくなってしまった。そこで“原点回帰”を試みました。これまで町は、浜が閉まった後の11~2月を“閑散期”と呼んでいましたが、ふざけるな、白浜にはこんなに素晴らしい浜と温泉があるじゃないか、と。パンダの返還はその当たり前の事実を気付かせ、町民に考えを改めるきっかけを与えてくれました」

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